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2024年11月11日【大石あきこ・質問主意書】優生思想及び障害者に対する偏見差別の根絶と相模原事件(津久井やまゆり園で19名の命を奪った差別犯罪)の検証に関する質問主意書と答弁

こんにちは、大石あきこです。

前の臨時国会で提出した質問主意書が解散のため、回答がされなかったものを11月11日に再度出しました。

こちらは前の国会で提出した質問主意書です。

第214回国会 優生思想及び障害者に対する偏見差別の根絶と相模原事件(津久井やまゆり園で十九名の命を奪った差別犯罪)の検証に関する質問主意書

 

2024年11月22日、政府の答弁書が送付されました。

 

第215回国会 優生思想及び障害者に対する偏見差別の根絶と相模原事件(津久井やまゆり園で十九名の命を奪った差別犯罪)の検証に関する質問に対する答弁書 

 

質問と答弁が別ページになっていて読みにくいので、

下の方で、質問と答弁を1対1に並べていますが、まずは【まとめ】を読んでほしいです。

 

【まとめ】

この質問主意書への政府の答弁書は、2016年7月26日の相模原事件(津久井やまゆり園で19名の命を奪った差別犯罪)については、2016年12月8日時点の「報告書」で、「終わったこと」にしたいということに尽きます。

 

あらためて、政府のやったことをまとめますが、事件当時の安倍首相は、障害者を標的にした優生思想よる犯行について見解を示すことなく、2016年12月8日の「報告書」に基づき、間違った再発防止策として精神保健福祉法の改正を指示し、それは廃案になりました。

その後、ほったらかしです。

つまり、この事件について、政府として、ちゃんとした検証も、再発防止策も取られないままなのです。ありえないことです。

 

<政府のやったこと>

・2016年7月26日 事件発生

・2016年7月28日 安倍首相、相模原事件で対策指示 関係閣僚会議 

https://www.nikkei.com/article/DGXLASFS28H3V_Y6A720C1PP8000/

「安倍晋三首相は「事件を徹底的に究明し、再発防止、安全確保に全力を尽くす」と述べた。塩崎恭久厚労相や河野太郎国家公安委員長らに、施設の安全確保や精神疾患による「措置入院」の見直しについて早急に検討するよう指示した。」

 

・2016年8月10日 政府が「相模原市の障害者支援施設における事件の検証及び再発防止策検討チーム」を設置

 

・2016年12月8日 同チームの「報告書」が取りまとめられる

 https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000145268.html

 薬物使用に関連する精神障害に関する診療内容、退院後の医療、関係機関等(自治体、警察、精神科医療関係)の協力に課題があったとして、主に被疑者の精神障害に犯行の因果関係を求めたものであった。

 また、報告書は「本事件の最終的な評価については、容疑者の供述や精神鑑定の結果など、裁判等により明らかになることも踏まえて判断する必要がある」としており、判決を受けて、植松死刑囚の供述や精神鑑定の結果などを踏まえて、あらためての評価を求めるものであった。

 

・2017年1月20日 安倍首相 施政方針演説

令和2年1月20日 第二百一回国会における安倍内閣総理大臣施政方針演説 | 令和2年 | 総理の演説・記者会見など | ニュース | 首相官邸ホームページ

「昨年7月、障害者施設で何の罪もない多くの方々の命が奪われました。決してあってはならない事件であり、断じて許せません。精神保健福祉法を改正し、措置入院患者に対して退院後も支援を継続する仕組みを設けるなど、再発防止対策をしっかり講じてまいります。」と、被疑者の精神障害に犯行の因果関係を求めていた。

 

・2017年2月24日 横浜地方検察庁が被疑者を殺人罪で起訴

 

・2017年2月28日「相模原市の障害者支援施設での殺傷事件の再発防止」を改正趣旨に掲げた「精神保健福祉法改正案」が閣議決定され、国会に上程される

 

※この法案は、障害当事者団体や、法曹界からも批判が出され、廃案となっている。

(参考)日本弁護士会 精神保健福祉法改正に関する会長声明

 https://www.nichibenren.or.jp/document/statement/year/2017/170412.html

 措置入院制度の課題を事件の再発防止策と結び付けることは、精神障がいのある人に対する差別や社会的偏見を助長しかねないだけでなく、医療や福祉に犯罪の予防という保安的側面を背負わせ、障がいのある人に対する監視を強めることになりかねないとの懸念を表明

 

・2020年3月16日 横浜地裁判決

 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/467/089467_hanrei.pdf

 判決では、犯行が被告の何らかの精神障害によるものであることを否定し、優生思想及び障害者に対する偏見差別による犯行であったことを認定している。

 

・2020年3月27日 弁護団が控訴

・2020年3月30日 控訴取り下げ→判決が確定

 

この横浜地裁判決を受けて、あらためて事件を検証し、犯行動機である優生思想及び障害者に対する偏見差別の根絶に取り組むことが政府には求められたはずです。

しかし、今回の答弁書で、一度も、あらためての検証も、再発防止策の検討もされていないことが明らかになりました。このままでいいんでしょうか?

 

旧優生保護法の被害に対し、政府が謝罪し、優生思想及び障害者に対する偏見差別の根絶を約束した今こそ、徹底検証と、差別を許さない対応がされるべきです。

「終わったこと」にはならないので、今後、再質問を行いたいと思います。みなさんのご意見もいただきたいです。

 

【以下、原文をもとに質問と答弁を並べて見やすくしたもの】

★は、大石が再質問するためのコメント

優生思想及び障害者に対する偏見差別の根絶と相模原事件(津久井やまゆり園で19名の命を奪った差別犯罪)の検証に関する質問主意書

(大石あきこ質問主意書)

 

 2016年7月26日、相模原市の障害者支援施設(神奈川県立津久井やまゆり園)に施設の元職員である男が侵入し、多数の入所者等を刃物で刺し、19人が死亡、26人が負傷した(以下「相模原事件」という。)。

 この相模原事件は、2020年3月16日の横浜地方裁判所の判決(以下「横浜地裁判決」という。)でも、優生思想に基づく犯行動機が認定されており、重大な差別犯罪であって、二度と起こさないために政府一丸となった取組が求められる

 一方、2024年7月3日の旧優生保護法国家賠償請求訴訟の最高裁判決を踏まえ、岸田首相が同月17日に原告団と面会し、謝罪するとともに、「違憲とされる国家の行為が約半世紀もの長きにわたって合憲とされてきたという重い事実を踏まえれば、二度と同じ過ちを繰り返さないための検証に加えて、優生思想及び障害者に対する偏見差別の根絶に向けた恒久的な対策が不可欠」と取組を約束した。先の国会では、この検証と対策を含んだ旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者等に対する補償金等の支給等に関する法律案が成立した。

 私たち、れいわ新選組は、政府・与党に対し一貫して被害者との面会・謝罪、上訴取下げ、早期全面解決を訴えてきた。しかし、政府は、除斥期間の問題は他の事案にも及ぶため最高裁の判決を仰ぎたい旨主張し、政府自ら解決への道を閉ざして被害者の方々に更なる苦しみを与え続けた。

 今までの政府の態度を踏まえれば、「二度と同じ過ちを繰り返さないための検証」や「優生思想及び障害者に対する偏見差別の根絶に向けた恒久的な対策」を行う約束が、本気で果たされるのか疑わしい。また、偏見差別の根絶に向けては、相模原事件の検証と対策は不可欠である。

 

 以上を踏まえて、以下のとおり質問する。

 

一 旧優生保護法は、その目的に「優生上の見地から不良な子孫の出生を防止する」ことを掲げ、優生思想の下、これまでに少なくとも2万5千人に対して強制不妊手術を始めとする非人道的施策が繰り返されてきた。1996年に優生条項をなくし母体保護法に改正した際も、被害者に対して国会・政府からの謝罪・補償はなく、優生思想が放置、再生産されてきた。原告団等から出された「最高裁大法廷判決を受けての優生保護法問題の全面解決要求書」(2024年7月17日)においても、「旧優生保護法に基づき推進された優生施策及び当該施策の社会への影響等を含む「検証」(提言を含む)を実施」することが求められている。

 

 以上を踏まえて問うが、当該要求書を踏まえ、岸田首相が述べた「二度と同じ過ちを繰り返さないための検証」には、この「社会への影響等」が含まれるとの認識でよいか。確認を求める。

 

(答弁)一について

 岸田内閣総理大臣(当時)が令和6年7月17日に述べた「二度と同じ過ちを繰り返さないための検証」については、同年9月30日に内閣府特命担当大臣(こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画)と優生保護法被害全国原告団、優生保護法被害全国弁護団及び優生保護法問題の全面解決をめざす全国連絡会との間で調印した「基本合意書」において、「二度と同じ過ちを繰り返さないため、第三者機関による、徹底的な調査及び検証を実施する。なお、実施主体や構成員として優生保護法被害全国原告団、優生保護法被害全国弁護団、優生連等障害者団体の代表を含むことをはじめ、その具体的な内容については、今後の議連での検討結果を踏まえつつ、最大限調整する。」とされたところであり、現時点でお尋ねについてお答えすることは差し控えたい

 

★具体的な内容については原告団等との調整によるということであるが、質問は、岸田首相が約束した「二度と同じ過ちを繰り返さないための検証」には、「社会への影響等」が含まれるかという首相の認識を聞いているのであって、回答を差し控える理由はない。原告団等との調整にあたっての政府としての主体的な認識を改めて問う

 

二 「第一回障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向けた対策推進本部」(2024年7月29日)において、岸田首相は、「憲法違反とされた旧優生保護法に基づく施策が、約半世紀もの長きにわたって合憲とされ、数多くの障害者の個人の尊厳を蹂躙し、苦難と苦痛を強いてきた重い事実とその教訓を踏まえなければなりません。過去において障害者が受けてきた差別、虐待、隔離、暴力、特別視は共生社会においてはあってはならないものです。障害への対処において、その取組の責任を障害者個人に見いだす考え方、そして障害者個人への医学的な働き掛けを常に優先し、それのみを手段とする考え方を過去のものにしなければなりません」と発言した。

 

以上を踏まえて問うが、岸田首相が述べた「障害者が受けてきた差別、虐待、隔離、暴力、特別視」が大量殺人として行われたのが相模原事件と考えれば、「二度と同じ過ちを繰り返さないための検証」に、相模原事件の検証を含めるべきと考えるが如何か

 

(答弁)二について

 岸田内閣総理大臣(当時)が令和6年7月17日に述べた「二度と同じ過ちを繰り返さないための検証」については、同年9月30日に内閣府特命担当大臣(こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画)と優生保護法被害全国原告団、優生保護法被害全国弁護団及び優生保護法問題の全面解決をめざす全国連絡会との間で調印した「基本合意書」において、「二度と同じ過ちを繰り返さないため、第三者機関による、徹底的な調査及び検証を実施する。なお、実施主体や構成員として優生保護法被害全国原告団、優生保護法被害全国弁護団、優生連等障害者団体の代表を含むことをはじめ、その具体的な内容については、今後の議連での検討結果を踏まえつつ、最大限調整する。」とされたところであり、現時点でお尋ねについてお答えすることは差し控えたい

 

★具体的な内容については原告団等との調整によるということであるが、質問は、岸田首相が約束した「二度と同じ過ちを繰り返さないための検証」には、「相模原事件の検証」が含まれるかという首相の認識を聞いているのであって、回答を差し控える理由はない。原告団等との調整にあたっての政府としての主体的な認識を改めて問う

 

三 相模原事件を受けた政府の検証については、厚生労働省の「相模原市の障害者支援施設における事件の検証及び再発防止策検討チーム」が2016年12月8日に報告書を取りまとめた。

 報告書は「今回の事件は、障害者への一方的かつ身勝手な偏見や差別意識が背景となって、引き起こされたものと考えられる」としつつも、主に措置入院者の退院後の医療等の継続支援など精神医療に再発防止策を求め、その後の精神保健福祉法改正案へ反映される内容だった(法案は廃案)。

 そして、「本事件の最終的な評価については、容疑者の供述や精神鑑定の結果など、裁判等により明らかになることも踏まえて判断する必要がある」としており、差別意識による犯行という観点での検証とそれに基づく再発防止策が十分に検討されたとは言えない。

 

 以上を踏まえて問うが、横浜地裁判決の確定後、改めて相模原事件の検証を行ったか。行ったのであれば、いつ、どのような会議体等で行ったのか示されたい。行っていないのであれば、植松死刑囚の供述や精神鑑定の結果などを踏まえた検証を改めて行うべきではないか。政府の見解を求める。

 

(答弁)三について

 御指摘のように「差別意識による犯行という観点での検証とそれに基づく再発防止策が十分に検討された とは言えない」とは考えておらず、政府としては、厚生労働省に設置された「相模原市の障害者支援施設における事件の検証及び再発防止策検討チーム」が平成28年12月8日に取りまとめた報告書(以下「報告書」という。)を踏まえ、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向けた再発防止策等の取組を進めることが重要だと考えており、御指摘のように「改めて相模原事件の検証を行っ」ておらず、また、「検証を改めて行うべき」とは考えていない

 

★繰り返しになるが、2016年(平成28年)12月8日に取りまとめられた検討チームの報告書では、「本事件の最終的な評価については、容疑者の供述や精神鑑定の結果など、裁判等により明らかになることも踏まえて判断する必要がある」としており、2020年(令和2年)の判決を受けて、植松死刑囚の供述や精神鑑定の結果などを踏まえた評価が求められているが、なぜ検証を行っておらず、今後も行うべきと考えないのか。それとも、判決を受けて、政府として「最終的な評価」は不要と判断したのか。そうであれば、なぜか。

 

 

四 相模原事件の犯行動機について、以下政府の認識を問う。 

 事件当時の安倍首相は、2016年7月28日の関係閣僚会議で「「津久井やまゆり園」において何の罪もない多くの方々が命を奪われました。決してあってはならない事件であり、断じて許すことはできません」と発言しているが、犯行動機としては、「措置入院後のフォローアップ」などの対策の検討を指示するなど、危険な精神症状をもって犯行を行ったという認識が前提となっていたことがうかがえる。

 また同年12月9日の関係閣僚会議でも、再発防止策検討チームの「報告書」を受けて、再発防止策について、「精神障害者の方が、措置入院から退院した後も地域で孤立することなく生活していくことができるようにする」ことを求めている。

 また、同様に翌2017年1月20日の安倍首相の施政方針演説でも、「昨年7月、障害者施設で何の罪もない多くの方々の命が奪われました。決してあってはならない事件であり、断じて許せません。精神保健福祉法を改正し、措置入院患者に対して退院後も支援を継続する仕組みを設けるなど、再発防止対策をしっかりと講じてまいります」と、主に精神障害の対策が再発防止策として重視されている

 しかしながら、日本弁護士連合会は2017年に「精神保健福祉法改正に関する会長声明」の中で、「事件の再発防止策と結び付けることは、精神障がいのある人に対する差別や社会的偏見を助長しかねないだけでなく、医療や福祉に犯罪の予防という保安的側面を背負わせ、障がいのある人に対する監視を強めることになりかねない」との懸念を表明している。

 その後、横浜地裁判決では「何らかの精神障害が本件犯行に影響を与えたとは考えられない」と明確に否定している

 具体的に言うならば、横浜地裁判決では、何らかの精神障害について犯行動機であることを否定したうえで、次のとおり認定している。

 「犯行動機は、概要、以下のような内容と認められる。すなわち、被告人が意思疎通ができないと考える重度障害者は不幸であり、その家族や周囲も不幸にする不要な存在であるところ、自分が重度障害者を殺害することによって不幸が減り、重度障害者が不要であるという自分の考えに賛同が得られ、重度障害者を「安楽死」させる社会が実現し、重度障害者に使われていた金を他に使えるようになるなどして世界平和につながり、このような考えを示した自分は先駆者になることができるというのが犯行動機であったと認められる。(中略)本件施設の利用者とその家族、職員の言動から、意思疎通ができない重度障害者が不幸を生む不要な存在であり、「安楽死」させるべきであると考えるに至った。このような考えは、到底是認できない内容とはいえ、それ自体は被告人自身の前記のような実体験を踏まえた発想として了解可能」(判決理由[法三百三十五条二項の主張に対する判断]第2 当裁判所の判断 1 被告人の精神障害(4)ア)

 

 この犯行動機とされる考えは、一方的に人の存在を「不幸」「不要な存在」とし、「重度障害者に使われていた金を他に使える」ことが良いこととしているが、犯人を特異なものと断罪したらすむものでは決してなく、旧優生保護法に基づく政府の施策によって振りまかれ、社会に根付いた優生思想として対象化し、根絶のために取り組む必要がある。そのためには、個別の事件についてあいまいにせず、政府として見解を示していくことが最低限必要だと考える。

 

 以上を踏まえて問うが、横浜地裁判決において否定された精神障害の影響を含め、この犯行動機についての現時点における政府としての見解は如何か

 

(答弁)四について

 御指摘の「犯行動機」については、報告書にあるとおり、障害者への一方的かつ身勝手な偏見や差別意識が背景となって、引き起こされたものと考えている

 

★ 繰り返すが、一般的な「障害者への一方的かつ身勝手な偏見や差別意識」という「背景」ではなく、横浜地裁判決で認定された犯行動機について、政府としての見解は如何か。このような犯行動機について、政府としてのコメントがなぜ出せないのか

 

★2016年(平成28年)12月8日に取りまとめられた検討チームの報告書では、事件の再発防止策の検討に当たって、次の3つの視点を重視したとある。

1 共生社会の推進 ~差別意識のない社会と、障害者の地域での共生~ 

2 退院後の医療等の継続的な支援を通じた、地域における孤立の防止  ~容疑者が措置入院の解除後、通院を中断したことを踏まえた退院後の医療等の支援の強化~ 

3 社会福祉施設等における職場環境の整備  ~容疑者が施設の元職員であったことを踏まえた対応~ 

政府答弁書の「報告書にあるとおり、障害者への一方的かつ身勝手な偏見や差別意識が背景となって、引き起こされたものと考えている。」というのは、この1点目にあげられたものであるが、差別意識等はあくまで「背景」であって、直接の犯行動機として検証されたものではない。また、薬物使用に関連する精神障害に関する診療内容、退院後の医療、関係機関等(自治体、警察、精神科医療関係)の協力に課題があったとして、主に本人の精神障害に犯行の因果関係を求めたものであった。

横浜地裁判決では、明確に精神障害の影響が否定されたことを踏まえれば、平成28年12月8日時点の報告書の検証は不十分と考えないのか

 

五 横浜地裁判決において、「本件施設の利用者とその家族、職員の言動から、意思疎通ができない重度障害者が不幸を生む不要な存在であり、「安楽死」させるべきであると考えるに至った」とされていることは極めて重大である。もともと差別思想を持った人物が犯行を行ったのではなく、障害者支援施設で働いていた職員が、施設で働く中で、他の職員の言動の影響を受けて、支援する対象を「不要な存在」と考えるようになり、犯行に至ったと理解できるからである。

 したがって、同種の事件の再発防止には、施設の在り方を根本から変えることが求められると考える。事実、その後、津久井やまゆり園と同じ法人が運営する他の施設では、次々に障害者に対する虐待、暴力が明らかになっている。

 

 以上を踏まえて問うが、横浜地裁判決を踏まえ、政府として障害者支援施設の在り方について、どのような検証と再発防止策の検討を行ったか示されたい

 

(答弁)五について

 御指摘の「障害者支援施設の在り方」については、御指摘のように「横浜地裁判決を踏まえ」た改めての「検証と再発防止策の検討を行っ」ていないが、報告書を踏まえ、社会福祉施設で働く職員に対する、権利擁護の視点を含めた研修の更なる推進、処遇改善等による職場環境の改善等に取り組んでいる。

 

「横浜地裁判決を踏まえ」た改めての「検証と再発防止策の検討」を、なぜ行わないのか。

 

六 総理大臣自らが、犯行動機である優生思想及び障害者に対する偏見差別を明確に非難することが重要である。政府は、独自の検証や横浜地裁判決が事実認定した本件の犯行動機の分析及び検討を踏まえ、改めて、優生思想及び障害者に対する偏見差別について、許さないと明確に表明すべきではないか。 

 

(答弁)六について

 御指摘の「独自の検証や横浜地裁判決が事実認定した本件の犯行動機の分析及び検討」を行うことは考えていないが、御指摘の「優生思想及び障害者に対する偏見差別」が許されないことは明らかであり、政府としては、引き続き、一及び二についてで述べた「基本合意書」における「調査及び検証」も行いながら、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現を目指していく考えである。

 

「横浜地裁判決が事実認定した本件の犯行動機の分析及び検討」を行うことは考えていないのはなぜか

 

 

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