2025年4月10日【衆議院本会議】、教員の働き方、給特法改正案について、石破総理、文部科学大臣、厚生労働大臣に質問しました。
====
大石 れいわ新選組、大石あきこです。
(拍手)
給特法等の一部を改正する法律案について。
(※給特法とは、「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」の略称です。)
この改正案は、一見、教員の賃上げを政府が頑張ったと誤解されかねない法案ですが、違法な残業状態に目を伏せる、「だまし絵」と言えるものです。
現在、公立学校の教員には残業代が支払われていませんが、給与月額の4%相当の教職調整額が支払われている。
それを給特法改正により、教職調整額が4%から10%まで、毎年1%ずつ段階的に引き上げられる。
こう聞くと、1%でも上がらないよりましだと思うかもしれませんが、それは間違いです。
労働基準法は、公立学校の教員にも適用されます。法文上、給特法によって労基法が一部適用除外されますが、
適用除外される規定は、労基法上の時間外労働の規定37条、超勤手当支給を定める規定のみです。
つまりは、公立学校の教員にも労基法32条は適用され、つまり、1日8時間以内労働制は適用されます。
給特法は、公立学校の教員に対し、一律給料月額4%の教職調整額を認めつつ、超勤手当を不支給としています。
このような給特法が正当化されているのは、あくまで超勤4項目に限って時間外勤務を命じることを認め、それ以外の時間外勤務を禁止するという体裁を取っているからです。
超勤4項目とは、
1つ、校外学習その他生徒の実習に関する業務、
2つ、修学旅行その他学校の行事に関する業務、
3つ、職員会議に関する業務、
4つ、非常災害の場合、児童又は生徒の指導に関し緊急の措置を必要とする場合その他やむを得ない場合に必要な業務。
しかし、実態はほど遠く、時間外勤務のうち、この超勤4項目はたった一割程度、本来は労基法上認められていないはずの時間外勤務が残りの九割を占めています。例えば、部活動の指導や授業の準備、保護者対応等が超勤4項目以外です。
この現状をそのまま受け入れて、「公立学校の教員は残業代は支払われないものだ」とか、「定額働かせ放題だ」とか言っていていいんでしょうか。
この現状がまかり通っているのは、文部科学省が無理筋な解釈と運用によってひねり出した、在校等時間という概念です。
この概念は違法概念というべきもので、公立学校の教員に対する労基法の適用がこれによって不当にゆがめられています。
労基法の管轄省庁でもない文科省が、法律の適用を勝手にゆがめてはいけません。
文科省は、まず、このゆがみを正すことをやるべきです。
2022年度の教員勤務実態調査によると、文科省が推定した教諭の月当たりの時間外在校等時間は、小学校は約41時間、中学校は約58時間でした。
あべ文科大臣に伺います。
時間外在校等時間のうち、超勤4項目に該当する業務以外で行っている業務は、一体どういった法的性格の行為でしょうか。
労基法が規制する労働時間に該当するのではないでしょうか。
また、それについて超勤手当を支払うべきではないでしょうか。
この問いに対して省庁から聞く答えは、このようなものなんですよ。
教員の自発的行為だから公費支給はなじまない。
しかし、例えば部活動、これは自発的行為ではありません。
子供たちが学校にいる間は、教員には安全配慮義務が発生しておりますので、部活に付き添わざるを得ません。
自発的行為ではありません。
そこで、福岡厚生労働大臣に伺います。
超勤4項目以外の時間外在校等時間としては、先ほど言ったように部活動指導、授業準備等がありますが、
これらは厚労省の策定したガイドライン、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドラインの示した基準によると、
労働時間と認定できる場合がありますか?
あるんじゃないですか、当然。
厚労省ガイドラインに従えば、部活動の指導時間は労働時間に当たります。
ガイドラインによると、こう書いてあります。
「労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれてる時間のことをいい、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間」です。
さらに、ガイドラインにはこうあります。
「客観的に見て使用者の指揮命令下に置かれていると評価されるかどうかは、労働者の行為が使用者から義務づけられ、又はこれを余儀なくされていた等の状況の有無等から、個別具体的に判断される」とされています。
このように、部活動時間は、労基法32条によって、1日8時間を超えた時点で、その時間外労働に対する対価は現行の給特法の下でも支払わなければなりません。
二度言います。
現行の給特法の下でも支払わなければなりません。
そうしなければ、違法な労働となります。
それを、厚労省のガイドラインをねじ曲げ、在校等時間という違法概念で、労働時間でも非労働時間でもないグレーの時間という労基法違反をこれ以上続けてはいけないんです。
労基法では、労働時間か非労働時間、二つの世界しかないんですよ。
そのような三つ目のグレーの時間という概念はないんです。
これこそ、今回の給特法改正で真っ先に行うことではないですか。
石破総理、今回の給特法等改正案ではこの違法状態が解消しません。
現行の給特法においても、8時間を超える労働時間に対価を支払うべきではないですか。
現行の給特法においても、対価を支払うべきではないですか。
又は、それがどうしても嫌というならば、さっさと給特法3条2項の削除をする。
こうして、しかるべき教育環境の整備のために、総理が、不払い残業、違法な不払い残業の解消を決断しませんか。
終わります。
(拍手)
内閣総理大臣(石破茂) 大石あきこ議員の御質問にお答えいたします。
給特法の在り方についてのお尋ねをいただきました。
第一に、教師の働き方改革を確実に進めることが必要であります。業務の仕分を行った学校、教師が担う業務に係る三分類に基づく業務の更なる厳選、見直し、標準を大きく上回る授業時数の見直し、校務DXの加速化を進めるとともに、学校の指導、運営体制の充実により、教師の時間外在校等時間を削減をいたしてまいります。
給特法につきましては、様々な御議論があることを承知いたしておりますが、まずは、時間外在校等時間が月20時間程度に達するまで、幅広い観点から諸課題の整理を行うことといたしておるところでございます。
残余の御質問につきましては、関係大臣から答弁を申し上げます。
(拍手)
文部科学大臣(あべ俊子) 大石議員にお答えいたします。
超勤4項目以外の業務についてお尋ねがありました。
公立の義務教育諸学校等の教育職員に関する給与その他の勤務条件についての特別法である給特法の仕組みでは、時間外勤務命令によらず所定の勤務時間外に教師が業務を行う時間は、労働基準法上の労働時間とは言えません。
また、給特法では、教師の職務等の特殊性を踏まえ、勤務時間の内外を問わず包括的に評価するものとして教職調整額を支給することとしており、こうした考え方は、現在も合理性を有するものと考えております。
(拍手)
※衆議院、本会議 会議録より転載。大石あきこ事務所にて編集
コメントをお書きください