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2024年10月1日【大石あきこ・質問主意書】優生思想及び障害者に対する偏見差別の根絶と相模原事件(津久井やまゆり園で19名の命を奪った差別犯罪)の検証に関して

こんにちは、大石あきこです。

 

本日、10月1日、臨時国会が始まりました。用意してきた質問主意書を3本出しました(3本目)。

 第214回国会 4 優生思想及び障害者に対する偏見差別の根絶と相模原事件(津久井やまゆり園で十九名の命を奪った差別犯罪)の検証に関する質問主意書 (shugiin.go.jp)

 

 

質問主意書とは、国会の会期中、国政全般について、議員が文書で出せる質問です。

政府からは塩回答が多いものの、現時点での政府見解を何らか公文書として残したいときに私は利用しています。

 

 

2016年7月26日の相模原事件(津久井やまゆり園で19名の命を奪った差別犯罪)について、毎年、大阪で追悼イベントが行われてきました。今年は私も参加することができました。

 

問題はまったく終わっていないし、政府の対応が求められます。

あらためて調べてみても、当時の安倍首相は、障害者を標的にした優生思想よる犯行について見解を示すことなく、間違った再発防止策として精神保健福祉法の改正を指示し、それは廃案になりました。

つまり、この事件について、ちゃんとした検証も、再発防止策も取られないままなのです。ありえないことです。

 

旧優生保護法の被害に対し、政府が謝罪し、優生思想及び障害者に対する偏見差別の根絶を約束した今こそ、徹底検証と、差別を許さない対応を求めたい。

長文になって読みにくいですが、多くの人にも一緒に取り組んでほしいです。

 

 

ただし、10月9日に解散になると、政府からの回答は間に合わず、回答はされず放置されます(許しがたい(# ゚Д゚))。

優生思想及び障害者に対する偏見差別の根絶と相模原事件(津久井やまゆり園で19名の命を奪った差別犯罪)の検証に関する質問主意書

 2016年7月26日、相模原市の障害者支援施設(神奈川県立津久井やまゆり園)に施設の元職員である男が侵入し、多数の入所者等を刃物で刺し、19人が死亡、26人が負傷した(以下「相模原事件」という。)。

この相模原事件は、2020年3月16日の横浜地方裁判所の判決(以下「横浜地裁判決」という。)でも、優生思想に基づく犯行動機が認定されており、重大な差別犯罪であって、二度と起こさないために政府一丸となった取組が求められる。

 

一方、2024年7月3日の旧優生保護法国家賠償請求訴訟の最高裁判決を踏まえ、岸田首相が同月17日に原告団と面会し、謝罪するとともに、「違憲とされる国家の行為が約半世紀もの長きにわたって合憲とされてきたという重い事実を踏まえれば、二度と同じ過ちを繰り返さないための検証に加えて、優生思想及び障害者に対する偏見差別の根絶に向けた恒久的な対策が不可欠」と取組を約束した。今国会では、この検証と対策を含んだ旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者等に対する補償金等の支給等に関する法律案(仮称)の審議が予定されている。

 

私たち、れいわ新選組は、政府・与党に対し一貫して被害者との面会・謝罪、上訴取下げ、早期全面解決を訴えてきた。しかし、政府は、除斥期間の問題は他の事案にも及ぶため最高裁の判決を仰ぎたい旨主張し、政府自ら解決への道を閉ざして被害者の方々に更なる苦しみを与え続けた。

 

今までの政府の態度を踏まえれば、「二度と同じ過ちを繰り返さないための検証」や「優生思想及び障害者に対する偏見差別の根絶に向けた恒久的な対策」を行う約束が、本気で果たされるのか疑わしい。また、偏見差別の根絶に向けては、相模原事件の検証と対策は不可欠である。

 

以上を踏まえて、以下のとおり質問する。

 

一 旧優生保護法は、その目的に「優生上の見地から不良な子孫の出生を防止する」ことを掲げ、優生思想の下、これまでに少なくとも2万5千人に対して強制不妊手術を始めとする非人道的施策が繰り返されてきた。1996年に優生条項をなくし母体保護法に改正した際も、被害者に対して国会・政府からの謝罪・補償はなく、優生思想が放置、再生産されてきた。原告団等から出された「最高裁大法廷判決を受けての優生保護法問題の全面解決要求書」(2024年7月17日)においても、「旧優生保護法に基づき推進された優生施策及び当該施策の社会への影響等を含む「検証」(提言を含む)を実施」することが求められている。

 

以上を踏まえて問うが、当該要求書を踏まえ、岸田首相が述べた「二度と同じ過ちを繰り返さないための検証」には、この「社会への影響等」が含まれるとの認識でよいか。確認を求める。

 

二 「第一回障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向けた対策推進本部」(2024年7月29日)において、岸田首相は、「憲法違反とされた旧優生保護法に基づく施策が、約半世紀もの長きにわたって合憲とされ、数多くの障害者の個人の尊厳を蹂躙し、苦難と苦痛を強いてきた重い事実とその教訓を踏まえなければなりません。過去において障害者が受けてきた差別、虐待、隔離、暴力、特別視は共生社会においてはあってはならないものです。障害への対処において、その取組の責任を障害者個人に見いだす考え方、そして障害者個人への医学的な働き掛けを常に優先し、それのみを手段とする考え方を過去のものにしなければなりません」と発言した。

 

以上を踏まえて問うが、岸田首相が述べた「障害者が受けてきた差別、虐待、隔離、暴力、特別視」が大量殺人として行われたのが相模原事件と考えれば、「二度と同じ過ちを繰り返さないための検証」に、相模原事件の検証を含めるべきと考えるが如何か。

 

三 相模原事件を受けた政府の検証については、厚生労働省の「相模原市の障害者支援施設における事件の検証及び再発防止策検討チーム」が2016年12月8日に報告書を取りまとめた。

 報告書は「今回の事件は、障害者への一方的かつ身勝手な偏見や差別意識が背景となって、引き起こされたものと考えられる」としつつも、主に措置入院者の退院後の医療等の継続支援など精神医療に再発防止策を求め、その後の精神保健福祉法改正案へ反映される内容だった(法案は廃案)。

 そして、「本事件の最終的な評価については、容疑者の供述や精神鑑定の結果など、裁判等により明らかになることも踏まえて判断する必要がある」としており、差別意識による犯行という観点での検証とそれに基づく再発防止策が十分に検討されたとは言えない。

 以上を踏まえて問うが、横浜地裁判決の確定後、改めて相模原事件の検証を行ったか。行ったのであれば、いつ、どのような会議体等で行ったのか示されたい。行っていないのであれば、植松死刑囚の供述や精神鑑定の結果などを踏まえた検証を改めて行うべきではないか。政府の見解を求める。

 

四 相模原事件の犯行動機について、以下政府の認識を問う。

 

 事件当時の安倍首相は、2016年7月28日の関係閣僚会議で「「津久井やまゆり園」において何の罪もない多くの方々が命を奪われました。決してあってはならない事件であり、断じて許すことはできません」と発言しているが、犯行動機としては、「措置入院後のフォローアップ」などの対策の検討を指示するなど、危険な精神症状をもって犯行を行ったという認識が前提となっていたことがうかがえる。

 また同年12月9日の関係閣僚会議でも、再発防止策検討チームの「報告書」を受けて、再発防止策について、「精神障害者の方が、措置入院から退院した後も地域で孤立することなく生活していくことができるようにする」ことを求めている。

 また、同様に翌2017年1月20日の安倍首相の施政方針演説でも、「昨年7月、障害者施設で何の罪もない多くの方々の命が奪われました。決してあってはならない事件であり、断じて許せません。精神保健福祉法を改正し、措置入院患者に対して退院後も支援を継続する仕組みを設けるなど、再発防止対策をしっかりと講じてまいります」と、主に精神障害の対策が再発防止策として重視されている。

 しかしながら、日本弁護士連合会は2017年に「精神保健福祉法改正に関する会長声明」の中で、「事件の再発防止策と結び付けることは、精神障がいのある人に対する差別や社会的偏見を助長しかねないだけでなく、医療や福祉に犯罪の予防という保安的側面を背負わせ、障がいのある人に対する監視を強めることになりかねない」との懸念を表明している。

 その後、横浜地裁判決では「何らかの精神障害が本件犯行に影響を与えたとは考えられない」と明確に否定している。

 具体的に言うならば、横浜地裁判決では、何らかの精神障害について犯行動機であることを否定したうえで、次のとおり認定している。

 「犯行動機は、概要、以下のような内容と認められる。すなわち、被告人が意思疎通ができないと考える重度障害者は不幸であり、その家族や周囲も不幸にする不要な存在であるところ、自分が重度障害者を殺害することによって不幸が減り、重度障害者が不要であるという自分の考えに賛同が得られ、重度障害者を「安楽死」させる社会が実現し、重度障害者に使われていた金を他に使えるようになるなどして世界平和につながり、このような考えを示した自分は先駆者になることができるというのが犯行動機であったと認められる。(中略)本件施設の利用者とその家族、職員の言動から、意思疎通ができない重度障害者が不幸を生む不要な存在であり、「安楽死」させるべきであると考えるに至った。このような考えは、到底是認できない内容とはいえ、それ自体は被告人自身の前記のような実体験を踏まえた発想として了解可能」(判決理由[法三百三十五条二項の主張に対する判断]第2 当裁判所の判断 1 被告人の精神障害(4)ア)

 

 この犯行動機とされる考えは、一方的に人の存在を「不幸」「不要な存在」とし、「重度障害者に使われていた金を他に使える」ことが良いこととしているが、犯人を特異なものと断罪したらすむものでは決してなく、旧優生保護法に基づく政府の施策によって振りまかれ、社会に根付いた優生思想として対象化し、根絶のために取り組む必要がある。そのためには、個別の事件についてあいまいにせず、政府として見解を示していくことが最低限必要だと考える。

 

 以上を踏まえて問うが、横浜地裁判決において否定された精神障害の影響を含め、この犯行動機についての現時点における政府としての見解は如何か。

 

五 横浜地裁判決において、「本件施設の利用者とその家族、職員の言動から、意思疎通ができない重度障害者が不幸を生む不要な存在であり、「安楽死」させるべきであると考えるに至った」とされていることは極めて重大である。もともと差別思想を持った人物が犯行を行ったのではなく、障害者支援施設で働いていた職員が、施設で働く中で、他の職員の言動の影響を受けて、支援する対象を「不要な存在」と考えるようになり、犯行に至ったと理解できるからである。

 したがって、同種の事件の再発防止には、施設の在り方を根本から変えることが求められると考える。事実、その後、津久井やまゆり園と同じ法人が運営する他の施設では、次々に障害者に対する虐待、暴力が明らかになっている。

 

 以上を踏まえて問うが、横浜地裁判決を踏まえ、政府として障害者支援施設の在り方について、どのような検証と再発防止策の検討を行ったか示されたい。

 

六 総理大臣自らが、犯行動機である優生思想及び障害者に対する偏見差別を明確に非難することが重要である。政府は、独自の検証や横浜地裁判決が事実認定した本件の犯行動機の分析及び検討を踏まえ、改めて、優生思想及び障害者に対する偏見差別について、許さないと明確に表明すべきではないか。

 

右質問する。

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