2023年6月9日【内閣委員会】で、
『LGBT法案』について法案を提出した新藤義孝議員(自民)、阿部司議員(維新)に質問しました。
【質疑】【修正案に対する質疑】【討論】の三部構成です。
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【質疑】
YOUTUBE動画 ~11:20
大西委員長 次に、大石あきこ君。
大石 れいわ新選組、大石あきこです。
今朝6時に、この法案で、元々自公、与党の出していたLGBT理解増進法が、
維新の出している修正案にほぼ乗っかるような形での与党案の修正案が来た。
それで、この流れで今日、この勢いで採決するという、これは熟議もへったくれもないですし、
これで議会民主主義にのっとって法律を決めましたとはならないです。
何より、LGBTの方のための法案であるはずが、今この社会で何が起きているか。
自称トランスの人が女湯に入ってくるという、そのようなデマで、すごく分断があおられているじゃないですか。
それで、国内でも既にヘイトクライムまで起きていますよね。
大阪の弁護士で、トランスジェンダーの弁護士なんですけれども、殺害予告まで来ました。
それで、6月6日に大阪の弁護士会でもこれに対する抗議声明、非難声明が出されているというのが、今この日本の現状です。
でも、一方で、今日この質疑で、そういったこと、ヘイトクライム、激しい差別に対して、これは駄目なんだ、
この国はそういうことは認めないんだということの質疑も答弁もなかった。
逆にそのような流れに譲っていくばかりの、このような政局で行われている法案の審議というのは最悪だなと思います。
今日採決するべきではない。
誰のための、何を解決するべきの法案なのかというところに、皆さん、是非一度立ち返るべきだと考えます。
そもそも、今回、3つの議員立法、朝で4つ目となるんですかね、
与野党から提出された直接のきっかけなんですけれども、
総理秘書官が、LGBTなどの性的少数者、性的マイノリティーに対して、
見るのも嫌だ、隣に住んでいるのもちょっと嫌だという問題発言、そして、それに関連する岸田総理自らの不適切な発言でした。
こういう、政権がそんなことを言うたらあかんやろ、差別やろ、そういうところから始まっているんですよ。
これまでも、2016年から野党側はLGBT差別解消法案を提案し続け、
れいわ新選組としても、2022年の差別解消法提出に参加しています。
だから、差別解消法の成立をれいわ新選組は求める立場です。
同性同士で結婚ができないトランスジェンダーであるということを理由として就業が断られるなど、
性的指向や性自認に基づく差別に苦しむ当事者が実際に存在して、法律的な保護を求め、
多くの当事者が長年にわたり声を上げてきました。
誰もが自分らしく生きられる社会の方が、それは国民全体にとっても生きやすい社会です。
実際の世界でも、目を向けてみれば、
2023年2月現在、34の国、地域で同性婚が認められ、アジアでも台湾が2019年に導入しています。
差別を禁止する法律も続々導入されています。
しかし、日本では、同性婚も法律での差別禁止も認めないという現状。
日本の性的少数者に関する法整備は、OECDの調査では、35か国中34位と、ほぼワーストの状況だ。
この国は、重い腰を全く上げようとしなかった。
また、その理由は、後で時間があれば述べますが、代わりに自治体が先んじて条例などの各種制度を整備してきた。
だから、この国でトランスジェンダーの方がむちゃくちゃ差別されている、
理解が全く進んでいないというわけではないんです。
時計の針はこの国でも前に進んできたんです、自治体という足下によって。
当然ですよね。
住民がいて、自分の仲間がいて、家族がいて、そこに身近に性的少数者がいたときに、自分の仲間じゃないかと。
この人たちは恐ろしい人じゃない、むしろ差別、偏見に苦しんでいるじゃないか、だから差別が問題やないか、
そういう足下での理解や必要性が深まって、各自治体で条例、制度が進んできました。
自治体の条例で同性カップルを夫婦に準ずる扱いとするパートナーシップ制度は、3月23日時点で少なくとも271自治体です。
市町村のみならず、都道府県も含んで、人口カバー率は65%を超えています。
さらに、性的指向や性自認に基づく差別を禁止する規定を盛り込んだ条例も、やはり都道府県なども含めて、69自治体になっています。
この国や国会議員がリアルの生活の場のそういった意識、当事者意識が低いのは仕方がないとしても、このようなボトムアップの、
日本社会が前進しているという流れを受けて、真摯に今求めるべきは、差別解消の法制度ではないんでしょうか。
むしろ、与党案の理解増進法案では、それが全くできないどころか、時計の針を戻しかねない。
今日の質疑を聞いて、そういう意図を持っている可能性は極めて高いなと考えております。
次から伺っていきます。
まず、ヘイトクライムについてなんですけれども、冒頭申し上げました、6月6日に大阪弁護士会でも殺害予告に対する非難声明を出しています。
与党案の説明者の新藤さん、ヘイトクライムに関しては絶対駄目だ、そういうメッセージを発せられますか。
新藤議員(自民) この理解増進法案によって、そうしたものが評価されるわけではない、そして、ヘイトクライム、それは中身の程度によって、
それは現行法においてきちんと対応されるべきものだ、このように考えています。
大石 差別があってヘイトクライムが起きる、だから差別はなくさなきゃいけない、
そのためにも政府としてヘイトクライムは駄目なんだ、
我々はそういう立場だというメッセージが絶対に必要だと思っています。
続きまして、与党案の理解増進法案が成立することによって、地方において既に進んでいる差別解消条例、
差別禁止条例についての妨げになるのではないかというのが本日の質疑でも複数行われました。
ちょっと納得がいかないというか、答えられていないんじゃないかということで、新藤さんに引き続きお伺いしたいんですけれども、
古屋圭司、衆議院の方ですよね、ブログを出されていて、もう出されているんですよ、これなんですけれども。
ちょっと分からない、そんなものは知らないようにおっしゃっていたので、よかったらお渡しするので、見てほしいんですよね。
これは主語が、我が党は、自民党はと。我々はと、全て主語が自民党にされています。
その上で、「我々が目指すのは理解増進であって、一部急進的野党等が主張する差別禁止とは基本的に全く異なる別物なのだ。」
そして、何度か出された「かつこの法案はむしろ自治体による行き過ぎた条例を制限する抑止力が働くこと等強調したい。」と、
この方は自民党の立場でおっしゃっているんですけれども。
この法案を提出された方にお伺いしますが、この考えと同じですか。
新藤議員(自民) 先ほどから何度も申し上げておりますように、個々の議員が言論の自由の範囲で何を発言しているか、
私は今のその話は承知しておりません。
それから、自民党の会議の中でそうしたものをみんなで共有したこともございません。
それから、大石さんは何か唐突に話が出たようにおっしゃいますけれども、これは私たちももう七年前からこの問題に取り組んでいます。
そして、2年前には超党派で工夫をして法案も出されました。
ですから、何か今日突然審議が始まるようなことをおっしゃっていますけれども、
既に国会の中では各党において様々議論がなされたものであります。
そして、社会的関心が高まった中で、この法案をきちんと審議しようじゃないかということ、
これは各党が合意をしてこの審議になっているわけでありますので、何かほかの政治的作為があるかのように言われるのは
私にすれば驚きでございまして、国会の審議というのは委員会の中できちんと皆さんが協議をされて、
今日も理事会においてこの議事が決められているわけですから、国会のルール、
その中で当てはめられたものが何かほかの政治的作為があるというふうに言われるのは、私はそこは共有できないわけであります。
大石 私が言っているんじゃなくて、古屋圭司さんが言っているんですよ。
私が突然言い出したんじゃなくて、古屋圭司さんが5月16日に言っているんですよ。
この考えがあなたと同じですかと聞いたんですけれども、もう答えなくて結構です。
通告している質問だったんですけれども、私はこのように聞こうとしたんですね。
今既に差別条例などがあるが、これ以降、制定を妨げたりグレードダウンさせないかというふうに聞いたら、
答弁の要旨がこんなものだったんですよ。地方自治体は法令の範囲内で条例を定めることができると言っているんですよ。
この答えは何かというと、やはり上乗せ条例は許さないということなんですよ。
そして、これは古屋圭司さんのこの考えとも合っていくんですね。
理念法だからとおっしゃっているけれども、理念法だと称して、通して、
後で指針で実際に縛っていくということができるように設計されているじゃないですか。
全ての答弁に関しても、これは我々の考えと全然違うよ、むしろこれは時代を後退させる考えだねと
おっしゃってくださったら、まだそうでもないのかなと思えるんですけれども、どう考えてもそうじゃないですか。
新藤議員(自民) 全く、私は条例に関して先ほどから何度も申し上げておりますけれども、条例制定権の範囲で自治体が、国が定める指針、
またそれは、この理念法の前に、そもそも憲法に基づいて、様々な分野で、
差別はあってはならないということで規制なりルールがあるわけです。
それに照らして条例が適正であるかどうかは、これは自治体が判断をして、そして行っていくわけなので、
この問題でこの法案ができたから何かを縛ることではありません。
しかし、問題は、今、性の多様性に関しては、明確な、統一された、全体を俯瞰したための計画もなければ指針もないので、
結局、自治体単位や様々な現場でそれぞれの独自の見解で進んでしまっている部分も、対応している部分も否めません。
ですから、そこをきちんと全体的な、国としては縛るわけじゃないんです。
自治体を縛れるんですか、あなた。
自治体を縛るつもりでおっしゃっているんですか。
そんなことはあり得ないんです。
大石 地方自治法でも、法律は……
大西委員長 大石委員、申合せの時間が経過しております。
大石 法律の範囲を超える条例を定めてはならないという規定があるんですよ。
そのことをおっしゃっているんです、答弁で。
時間がないので終わります。
【修正案に対する質疑】
YOUTUBE動画 52:19~57:47
大西委員長 次に、大石あきこ君。
大石 れいわ新選組、大石あきこです。
法案の修正案に関連してお伺いします。
先ほどの質疑で、最後の方に私が質問していた内容は、新しい修正案にも丸まま引き継がれますので、
古屋議員、自民党の議員が、この法案は自治体の行き過ぎた条例の抑止力になるとおっしゃっていたということが
この法案の理念にも埋め込まれている可能性については、
また改めて整理して、指摘しておきたいと思います。
というのも、この元々の法案の質疑の質問通告はこうだったんですよ、私が質問通告したものは。
この法案によって地方自治体独自の条例を拘束しないという理解でよいですか、拘束しないという理解でよいですかと聞いたんです。
それに対して、事前に答弁の要旨が出てきて、それが、地方自治体は法令の範囲内で条例を定めることができるという回答だったんですね。
これは、縛るものじゃないとおっしゃっても、地方自治法の第十四条の一で書いてあることそのままなんですね。
すなわち、これは条例の範囲を縛るものなんです。
ただ、自治体、各現場では、そのような縛りを工夫して、横出しの規制にする。
この法律とはまた別目的の条例なんです、そういう工夫のしようはあるので。
だから、新藤さんのおっしゃったような、各自治体が頑張れば、国のあしき理念法とはまた違う条例の制定も可能かもしれません。
しかしながら、やはり、この理念法に基づいて作られた指針によって、
条例を拘束する、自治体の行き過ぎた条例を抑止するという力にもなり得るのだということは指摘しておきたいと思います。
これは質問はしません。
続いて、質問なんですけれども、自民党、公明党の修正案と維新の案についてお伺いしたいと思います。
削除された項目について、民間団体等の自発的な活動の促進という記述が削除されております。
これについて、お二人に、説明者にお伺いしたいんですけれども、この文言自体を問題にした有識者と呼ばれる方がいらっしゃるんですね。
高橋史朗さんなんですけれども、この方は、この文言が駄目だと。
なぜ駄目なのかというのは、こういうふうにおっしゃっています。
この記述があるが、これにより、性道徳を全面否定する過激な性教育を行う団体や活動家が行政や学校と癒着して研修を担い、
継続的に補助金を受け取れるおそれがあるから問題だとおっしゃっているんですけれども、
削除したコンセプトにそのようなものは含まれているか、教えてください。
新藤議員(自民) 先ほどから、何か悪いことが起きて、それを何か助長したりとかと、そういうふうに聞こえるので、
すごく、私、ちょっとこれは答弁が困るんですね。
この問題は、民間の活動は自由に行っているわけですよ。
様々な啓発活動をする中で、例示として挙げましたけれども、逆に、民間の団体といっても様々な団体があって、その規定も何もない。
ですから、例示からは削りましたけれども、活動の内容そのものは、基本指針を含めて、何ら対象から外れるものではなく、全般にわたって……
(大石「そういう意図ではないというお答えに聞こえますが、それでよろしいですか」と呼ぶ)
先生が、大石さんが質問していることに、そういう意図と言われると、あなたの質問を認めることにと聞かれると、
私は、それは、ちょっと危なくて答えられないんだよね。
阿部(司)議員(維新) お答え申し上げます。
国とか地方公共団体が民間団体と連携をしていくことというのはもちろんあろうかと思いますけれども、まさに、
先ほどから繰り返し申し上げているとおり、あくまで例示の一つですので、まず理解増進を進めるといった点で、
国、地方公共団体、公のところはまずはしっかりとやっていくことが重要だということで、あえて明記をしなかった、このように考えております。
大石 意図があったかないかにはお答えいただけなかったけれども、結構です。
ただ、様々、こういった子ども手当ですとかいろいろなところで、このような、一部の過激な活動家が云々ということが出てくるので。
実際にこれまで、統一教会にも見られるような、この高橋史朗さんは親学の推進で知られる、それの有識者の方なんですけれども、
そういった宗教右派に見られる、何でもかんでも赤だ、左翼だとして、社会の発展を阻害する危険な考え、
より多くの人が豊かに、自由に、科学的に生きられるという人類の当たり前の前進を否定する危険な考え方、
その核心は優生思想であり、これが分からないように、毒々しいので、分からないように理念に潜り込ませるやり方というのが
数々の政策でも見られ、そしてこの国の政策がゆがまされてきましたから、だから、そのようなことがないようにと申し上げておきます。
終わります。
【討論】
YOUTUBE動画 1:11:24~1:14:34
大西委員長 次に、大石あきこ君。
大石 れいわ新選組、大石あきこです。
会派を代表して、三種類、そして今朝急浮上した修正案、四種類のLGBT理解増進法、全てに反対の立場から討論いたします。
過去何度も、LGBTの方への差別的な取扱いをなくすための法整備の必要性が求められてきました。
今回、複数の議員立法が与野党から提出された直接のきっかけは、
総理秘書官の、見るのも嫌だ、隣に住んでいるのもちょっと嫌だという問題発言と、
それに関連する岸田総理自らの不適切な発言でした。
先ほどの反対討論で言われたような、差別のない社会、早く来ればいいですけれども、
総理秘書官や総理がこの状態ですから、やはり取組というものが必要なんです。
これまで、2016年から、野党側はLGBT差別解消法案を提案し続け、
2022年の差別解消法提出には、れいわ新選組も提案に参加しました。
私たちは、差別解消法の成立を求める立場です。
続けて、反対の理由を三つ述べます。
第一は、議員立法という手法が充実した審議をさせない手段として利用されたことです。
今回は、理解増進の意味づけだけをめぐっても与野党の調整がつかず、結果的に四法案並ぶ異例の状況になってしまいました。
そして、最終的には自公が維新、国民と握って、宗教右派の意向を酌んだ修正案を提案。議員立法でやることが駄目とは申しません。
しかし、現在、国会の慣例上、議員立法は審議時間が十分に取れず、参考人質疑など充実した審議は期待できないのが実情です。
その慣例を変えて徹底審議をするか、あるいは、政府が責任を持って差別解消のための法案を閣法で提出し、じっくり審議するべきでした。
第二は、理解増進法自体の内容です。
自民・公明案、維新・国民民主党案については、超党派合意案からの後退が著しい。
統一教会や宗教右派の考えを強く忖度した法案になっています。
それらの主張が反映されている法案には賛成できません。
本日出てきた修正案は、性教育全体に歯止めをかけかねず、元の自公案よりも悪手、差別促進法案になりかねません。
最後に、三番目。理解増進だけでは駄目で、差別解消のための法整備が必要であることです。
私たちは、LGBT当事者に対する差別がこの社会において存在し、それを解消するための法整備が必要と考えます。
差別の解消にとって重要なのは、本法が掲げるような理解増進だけではなく、
差別的取扱いをなくすための合理的配慮の仕組みを整備することです。
理解増進と差別解消は車の両輪です。
時の歯車を後ろに進めようとする流れに対して、差別解消の仕組みの整備を譲り渡したという点で、
立憲案にも反対します。
以上の3点の理由で四法案全てに反対し、差別解消法の成立を引き続き求めていきます。
以上で討論を終わります。
※衆議院、内閣委員会 会議録より転載。大石あきこ事務所にて編集
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