2023年5月29日【決算行監視委員会】で、
法務大臣に『再審法改正』について追及しました。
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江田委員長 次に、大石あきこ君。
大石 れいわ新選組、大石あきこです。
まず、通告した3番目の質問からいたします。
法務大臣にお伺いします。
全ての国民の人生を大切にしたい、そのように思われますか。
イエスかノーかでお答えください。
齋藤健法務大臣 日本国民の幸せを少しでも前進させていきたいとずっと思っています。
大石 ありがとうございます。
そうお考えなんですね。
しかし、全ての国民の人生を大切にするとは余りにもほど遠い実態が、刑事争訟法の分野においてもあります。
ここから再審制度の改革について伺います。
もし、あなたが間違った裁判で有罪判決が確定してしまった、
すなわち冤罪の被害者になってしまった、そのとき、あなたは無実でも甘んじて服役しますか。
死刑になっても仕方がないと思われますでしょうか。
これは、私も含め、ほとんどの人が思わないでしょう。
そのときにあなたを救う最後のセーフティネットが再審制度です。
しかし、現在の再審制度ではあなたを迅速に救うことができません。
「機能不全」になっているからです。
近年、袴田事件を始めとして、無実の死刑囚がなかなか再審が開始されない問題に光が当たる中で、
この国の重い重い腰が上がろうとしています。
もっと広くこの事実を国民の皆さんに知っていただき、高齢化した冤罪被害者の名誉回復が間に合うように、
無実の人間が間違って死刑になることがないように、再審法改正を実現したいと思います。
現在の再審制度の「機能不全」についてご説明します。
まず、この国ではこのようなことがある。
冤罪がつくり出される構図があり、かつその冤罪で死刑囚になってしまったとしても、
めったに再審が開始されないという二重の苦しみがあります。
まず、この冤罪の構図とは何か。
再審弁護に取り組んできた弁護士の論文によると、過去の冤罪事件からあぶり出されたものがある。
捜査機関が素行不良者などと決めつけた人を別件逮捕して、拘留し、厳しい取調べの末に犯行を自白させる。
その内容自体は不自然で、客観的証拠とも矛盾する内容が多々含まれていたのに、裁判所が安易に有罪の証拠としたこと、
また、捜査機関が有罪証拠を捏造した疑いがあること、
科学の名をかたったずさんな鑑定などが共通している構図だといいます。
この冤罪の構図自体、絶対に許されないことなんですけれども、それに加えて、めったに再審が開始されない。
大きな理由を2つ言いますと、
1つは、再審手続については証拠開示の法制度化がなされていない。
再審とは違う通常審ではそのような手続きが明記されているんですけれども、
検察官が証拠を隠してしまって再審の開始につながらない、そういう再審制度の不備の問題があります。
もう1つは、せっかく裁判所によって再審開始が決定が出ても、検察の再審妨害ともいうべき不服申立て、
これは即時抗告だったり、特別抗告、異議申立てというものなんですけれども、そういったものがなされてしまう。
これは袴田さんの事件でも抗告をするという話になって、本当に、それは結局諦めましたけれども、
大変な状況になってしまう。
これによって、死刑から再審無罪になったケースでも、平均30年以上と途方もない年月と努力が必要になってしまう。
これを、当事者や有識者の方など、様々な方のこれまでのご尽力によって、
現在、再審手続における証拠開示の手続と検察の不服申立ての禁止、
これの法制度化の必要性というのは、大筋社会的合意ができていると思われます。
実際に法務省においても、2016年成立の改正刑事訴訟法の附則第9条に基づき、「在り方協議会」が設置されている。
その中で、再審請求審における証拠開示等について協議予定とされています。
それで今年の2月には、予定委員会分科会で、自民党の塩崎委員が、再審手続のこの点は改正が必要ではないかと質問されています。
それで、法務省も、「在り方協議会」で証拠開示等について協議する必要があるんじゃないかということに対して、
答弁の中で、やる予定だ、やる予定なのは強く申し上げておきたいとおっしゃっています。
しかし、これは動きが余りにも遅いと言わざるを得ません。
ここで伺います。
いつやるのでしょうか。
今年何月にやるのでしょうか。
教えてください。
齋藤健法務大臣 まず、在り方協議会ですけれども、御指摘のように、平成28年成立の刑事訴訟法等の一部を改正する
法律の附則第九条において指摘されたことの検討に資するために、今、改正後の規定の施行状況を始めとする実務の運用状況を共有しながら、
制度運用における検討すべき課題を整理する、こういうことを目的として開催しているもので、同協議会には法曹三者及び警察庁のほか、
刑事法の研究者やマスコミ関係者といった有識者の方々にもご参加いただいている。
その上で、何が申し上げたいかといいますと、彼らの検討課題については、協議会における協議すべき項目の順序等は
構成員の方々の御意見を踏まえながら決定しなくちゃいけないということでありますので、いろいろほかにも協議すべき項目がありますので、
その協議の状況にもよりますけれども、私としては、この間申し上げましたように、充実した協議が行われるように努力をしていきたいと
考えています。
大石 大体何月になるか、教えていただけますか。
齋藤健法務大臣 これは協議会の中で、その他いろいろな項目がある中で、協議会でまずご判断をいただかなくちゃいけないので、
私が何月というふうにここで申し上げることはできないんです。
大石 時間がないので、2つ目の改革事項である「検察の不服申し立て禁止」、検察に「抗告をさせない」ということについては、
それもまた塩崎委員の質問に対して、これは法務省のほうから困難であるかのような答弁をしていましたが、
合理性がありませんでした。
そのせいで再審がなかなか開かれない。検察の再審妨害という、そのせいでいろいろな弊害が起きています。
名張事件の奥西さんは第9次再審の途上で89歳で亡くなりました。
大崎事件の原口アヤ子さん、40年以上無実を訴え続け、今、94歳です。
再審は決定しましたけれども、袴田巌さんは、事件から53年、今85歳です。
法務大臣、いろいろな調整があるんだというんですけれども、これは本当に政治の決断、
いつやりますというのが必要な局面になっていると考えます。
この人たちの人生において間に合う必要があるというお気持ちはありますか。
齋藤健法務大臣 まず、袴田さんの件につきましては、今、係争中でありますので、係争中の案件について私から
法務大臣としてコメントをすることは差し控えるべきだろうと思っています。
その上で、不服申立てのお話がありましたけれども、これは前回も答弁申し上げているんですけれども、
検察官が再審開始決定に対して抗告し得るということは、やはり公益の代表者として、この権利は当然のことでありまして、
これによって再審請求審における審理決定が適正かつ公正に行われることが担保されると考えています。
検察官の抗告権を排除することにつきましては、違法、不当な再審開始決定があった場合にこれを是正する余地をなくしてしまうという
問題がありまして、また、司法制度全体の在り方とも関連するので、慎重な検討を要する課題だと考えています。
大石 これは塩崎委員とのやり取りの中でも同じことをおっしゃっていたんですけれども、
やはり再審の議論の中で解消できるべきことであって、
その手前での抗告をする合理性はやはり全くないのだと考えます。
再審手続きについてなぜこのようなことになっているか。
非常に古いという問題があって、 これは戦前から戦後になるときに、刑事訴訟法のほかの部分は変えられたんですけれども、
再審のところは間に合わなかったという、とんでもない状況によって70年間も戦後そのままになっいて、
本来でしたら当事者主義、当事者の権利、黙秘する権利ですとか様々、
憲法に基づいて明記されていたものが この再審の部分は抜け落ちている。
それだけでも本当に至らない、ずさんであるということは間違いないわけで、
人の人生を大事にする、したいとおっしゃっていましたので、
是非、政治の決断、今年何月にということをおっしゃっていただきたいと思いますが、時間切れでしょうか。
江田委員長 時間ですので、簡潔にご答弁をお願いします。
齋藤健法務大臣 先ほど申し上げた協議会の中で課題を整理しながら進めていく話ですので、
私がここでいつということを申し上げることはできないということを御理解いただければと思います。
大石 是非、間に合わせていただきたいと思います。
江田委員長 もう質疑時間が経過しておりますので、終了してください。
大石 終わります。
これを言わないといけないようなんです。
あと2問については、残念ながら、時間の関係でお聞きできませんでした。
お越しくださったのに、申し訳ありませんでした。
終わります。
※衆議院、決算行政監視委員会 会議録より転載。大石あきこ事務所にて編集
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