2023年4月26日【国土交通委員会(一般質疑)】で、
斉藤国土交通大臣に住まいの問題である『家賃保証会社』について追及しました。
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木原委員長 次に、大石あきこ君。
大石 れいわ新選組、大石あきこです。
本日は、住まいの問題のうちで、家賃保証会社についてです。
最近、最高裁判決によってその違法な活動が世間に注目された家賃保証会社について、その規制が不十分ではないかという点について伺います。
まず、家賃保証会社とはどのような会社か。家賃債務保証業者などともいいますが、一般的にこのように言われています。
大家さんに対して、家賃や更新料などの金銭面の保証をする会社のことだと。
利用すれば、もし入居者が支払いを滞納してしまった場合などに、借主に代わって支払いを行うと。
入居者から見たら、保証委託料を支払う必要があるものの、連帯保証人の代わりになってもらえる点がメリットだと
一般的に説明されています。
連帯保証人というものが立てられない事情のある方、たくさんいらっしゃいますので、家賃保証会社と契約することで
アパートを借りることができるようにする、それが家賃保証会社の役割だと説明されているんです。
しかし、実際にはそうなのかと。
ちゃうんちゃうかという経験を持った方も多くいらっしゃると思うんですけれども、そのことについて後ほど説明いたしますが、
話を戻して、先ほど、裁判があったと言いました。
この家賃保証会社の大手が、借主に対して課していた契約の条項が不当だということで訴えられていたんですけれども、
それが昨年の12月12日ですが、訴訟の最高裁判決がありました。
これはいわゆる追い出し条項訴訟とされるもので、追い出し条項、物件を明け渡させられる、強制的に。
そういった追い出し条項自体は長年問題になっていたものですけれども、昨年、22年になって初めて違法性が確定しました。
その判決では、家賃を2か月以上滞納するなどの要件を満たせば、物件を明け渡したとみなし、
契約者の同意なしに家財などを搬出できるという、それが追い出し条項なんですけれども、それについて、
借主の権利が当事者ではない家賃保証会社の一存で制限されるとして、違法と認定されました。
また、3か月以上の滞納で、家賃保証会社が事前通告なく賃貸借契約を解除できるとした別の条項も同様に違法と指摘し、
契約解除は生活の基盤を失わせる重大な事態を招き得るために、先立って通告する必要が大きい、事前通告なしはあかんと指摘されています。
これらが消費者契約法に違反すると認定されているんですね。
消費者の権利を制限又は義務を加重する条項で、消費者の利益を一方的に害するものは無効だと。
消費者契約法では、そういった社会常識に反するようなもの、また消費者の利益に反するようなそういった約款、
時にというか多くは、ちっちゃく書かれていたりですとか、急いでサインしないといけないということが多いわけですけれども、
そういったものがたとえ約款に入れ込まれていても、たとえ消費者がサインしても、契約としては無効だ、
そういった無効に当たると認定されたわけです。
それにしても、この家賃保証会社の一存で実際に追い出してしまうという状態が続いてきたわけなんですけれども、
これは最高裁判決を待たずに政府が適切な規制、指導ができなかったのかということで、まずは、家賃保証会社の現状について伺います。
国交省が把握している家賃保証会社の数とその利用割合について、2010年、2016年、2021年における利用率について、お答えください。
斉藤(鉄)大臣 家賃債務保証業者の数は、業界団体の独自調査によりますと、2022年7月12日時点で247者であると聞いております。
次に、賃貸借契約における家賃債務保証会社の利用割合についてでございますが、国土交通省が賃貸住宅の管理会社に対して行ったアンケート調査によれば、回答した管理会社が管理している全戸数のうち、家賃債務保証会社の家賃債務保証が必須となっている戸数の割合は、
2010年で39%、16年で60%、21年で80%となっております。
大石 このように、過去15年ぐらいで急増しているという状況なんですけれども、家賃保証制度自体、経緯としては、
リーマン・ショックの頃に、連帯保証人がいない人が家を借りられないということが大いに問題になり、
そういう方々にNPOなどが保証を行う支援もされたという一方で、この部分が公的な救済制度などではなくビジネス化したというところで、
今、80%の契約の中で、そういった家賃保証会社との契約というのが強いられている状況になっている。
これは、その経緯からすると、連帯保証人がいない人に対して、そもそも連帯保証人が要らない社会にするべきだったと考えますが、
続いて伺います。
2017年に、国が、急増しているこの家賃保証会社の契約に関して、この保証会社の登録制度が設けられることになりましたが、
現在何者が登録されているんでしょうか。
斉藤(鉄)大臣 国土交通省が定めた家賃債務保証業者登録規程に基づく登録事業者の数は、本年4月11日時点で94者となっております。
この登録事業者の数は、登録規程の制定以降、2017年度時点で当初40者の登録があったのに続き、18年度にはプラス16、
19年度にはプラス11、20年度にはプラス6、21年度にはプラス13、22年度にはプラス8者ということで、
これまで着実に拡大してきております。全体で94者となっております。
大石 登録制度が義務ではなく任意になっていて、250者把握されているうち登録は94、
それでも着実に増えているんだということをおっしゃっています。
質問項目に、義務化についての質問をしたんですけれども、ちょっとそれは時間の都合ではしょります。
この登録制度自体の法制化については、民主党時代に、義務化については一度、閣法として、
政府の法案として提出されているもので、これが成立しなかったんですけれども、
これを現状に見合うように法制化して義務化するべきときだと考えます。
一方で、この現行制度のことなんですけれども、大臣に伺いますが、現行制度の下で登録している業者であれば、
果たして不当なこの追い出しはやらないのか、そういう制度になっているんでしょうか、大臣、いかがでしょう。
斉藤(鉄)大臣 登録制度の中で、それは、今回、家賃債務保証業者登録制度では、不当な取立て行為を禁ずる内部規則等が
設けられていることを登録要件としております。
具体的には、不適当な時間帯における電話や訪問の禁止、勤務先への電話や訪問の禁止、
退去を求められた場合に居座ることの禁止などを内部規定として定めることを求めております。
大石 そういう制度になっていると言っているんですけれども、さっき私が言及した、裁判で違法だと認定されたのが、
その登録業者の大手のフォーシーズ株式会社なんですよね。
なので、登録業者が違法行為をやっていたということが最高裁で認定されたわけなんですけれども。
なので、まず、業者の登録が任意であって、しかも、登録した業者が違法行為をしていて、国交省には、
今、アンケートをやっているということなんですけれども。
3月にも参議院の方で、私が今回質問しているような、同趣旨で、規制を急がなあかん、この最高裁判決を受けて、
その前からずっと問題になっていたんだよ、だから、国として規制、対応を急がないといけないという質問があったんですよね。
それに対する答弁、斉藤大臣の答弁は、追い出し条項を使っている場合の見直し方針について調査している、
その3月の時点で調査している、反則した業者に是正するという答弁を3月にされているんですけれども、
追い出し条項自体は他社もやっているわけで、進捗はいかがですか。
具体的に是正、指導をされたんでしょうか。
斉藤(鉄)大臣 登録事業者に対しては指導等を行うことができることとしておりまして、
具体的には、国土交通省において、賃借人等から求償権の行使に関する相談をいただいた際には、
その内容に応じて当該業者に対する確認や注意喚起などを行っております。
今後は、さらに、消費者から寄せられた相談事項を踏まえ、登録事業者に対する指導等をより積極的に行ってまいりたいと思っております。
大石 ちょっと、やっていないというふうに聞こえたんですけれども。
進捗、是正、指導をやっているのかに対して、やっていないというふうに聞こえました。
先日、国交省にも問い合わせても、アンケート調査中だという回答でしたので、追い出し条項を具体的に撲滅するような
強い動きをしていないように思うんですけれども、これは本当に、最高裁でも判決になりましたし、大変なことなので、
斉藤大臣、動いていただけますか。
いつまでにやりますか。
斉藤(鉄)大臣 フォーシーズ株式会社に対しては、先ほど御指摘がありましたように、最高裁判決が出ました。
そして、他の登録事業者に対しても、同様の契約条項を使用していないかなどについての調査をしております。
該当する事業者には、当該契約条項の使用をしないよう是正を求めているところでございます。
引き続き、この登録制度に基づいて家賃債務保証業の適正な運営の確保に努めてまいりたいと思っております。
大石 3月の時点で調査をしているということで、昨日も国交省に電話で、調査中だということですし、
でも、やるということなので、是非その進捗を追っていきたいと思います。
最高裁判決を機に、規制を強化、追い出し条項を撲滅できないようなら、これは行政の怠慢ですので。
家賃保証会社をめぐっては、追い出し条項だけではなく、ほかにも幾つもの問題が指摘されております。
その主要なものを3点まとめました。
大石 パネル1です。家賃保証会社をめぐる主要な問題点として3つ挙げました。
その一つ目のダブル保証の問題について。
先ほど、家賃保証会社が、事情があって連帯保証人を立てられない人が使うものだという目的を説明しまして、
国交省も同じように説明されているんですけれども、ところが、実際には、連帯保証人を立てさせられ、
かつ家賃保証会社を利用するダブル保証、これが契約の条件とされる例が増えている。
これは、明らかに家賃保証会社の本来の目的を逸脱しております。
アパートを借りる人の権利を守るために活動している全国借地借家人組合連合会という団体が行ったアンケート調査があります。
大石 パネルの2です。
賃借時の保証契約について、どのようなダブル保証をやったのかやっていないのかといったアンケート結果なんですけれども、
142件の回答者を、ウェブ調査で、昨年、2022年9月から10月に行っているので、
最高裁判決の前から活動されていてそういう調査を行っていらっしゃるんですけれども、
約半数がダブル保証だ、連帯保証人と保証会社を両方やらされていると。
政府が行った実態調査においても、同じような、年々増加と書かれているんですね。
令和3年度の家賃債務保証業者の登録制度に関する実態調査ですけれども。
こういった、元々、連帯保証人がいない人用という役割だったはずが、
連帯保証人もつけさせられ保証会社もやらされているという例が半数である。
これは、どちらか一つを選択できるようにするべきではないでしょうか。大臣に伺います。
斉藤(鉄)大臣 家賃債務保証業者は、保証の引受けに当たり、
賃借人の家賃債務を代位弁済した際の賃借人に対する求償債権を担保するため、賃借人に連帯保証人を求める場合があります。
これが一つ。もう一つは、連帯保証人と保証会社、賃借人に連帯保証人を求めたケースでございます。
まず、賃借人に連帯保証人を求める場合がありますが、国土交通省の調査では、そうした住居はほとんど見られませんでした。
賃借人に連帯保証人を求めた僅かなケースでは、3%ないし4%でございますが、賃借人の収入情報だけでは保証の対象にならなかったものの、
連帯保証人を確保することで、保証契約もでき、入居が可能となった例もあると聞いております。
このため、連帯保証人を一律に禁止することには慎重な検討を要しますが、他方で、居住支援法人が賃借人に一定の入居支援を行うことで、
連帯保証人を要することなく入居が可能となった事例もあります。
具体的には、家賃債務保証業者と居住支援法人が協定を結び、収入を理由に……
(大石「質問だけに答えてもらえないですか、あと5分なんですけれども」と呼ぶ)
はい、端的に。保証を受けられない賃借人が、居住支援法人から公的な給付金の活用に向けた支援や就労支援などを受けることを条件に、
保証業者から収入の安定が見込めると評価され、入居が可能となった優良事例もございます。
こうした例を横展開しながら、居住支援法人への支援を強めていきたいと思っています。
大石 普通に生活されていたり、アパートを借りた人に、現場に聞いてみてもらえたらいいと思うんですけれども、
既に家賃保証会社の契約割合が80%まで急増していて、連帯保証人も求められていますので、このアンケート結果という
のは事実を表すものであって、今おっしゃっているような何とかなっているという話ではなく、結局、
これはただただ借主の負担が一方的に増えているということで、このダブル保証というのは厳格に認識されて規制されるべきです。
元々、連帯保証人がいない人が顕在化したことが契機であり、また、最高裁判決を受ければ生活を奪うような取立ては駄目だという、
そういう趣旨も踏まえて、誰でも受けられる公的な保証制度というものをそもそもつくるべきだと考えます。
大石 まだ家賃保証会社の問題があって、2つ目に行きます。
家賃保証会社による原状回復費用の請求について、借主とのトラブルが増えている。
これは、マンションとかアパートを出ていくときに多くの方が何らか関わる問題なんですけれども。
そもそも、原状回復費用というのは、何か多めに取られるというのが世の中でも多くあるんですけれども、
ただ、本来は、普通でないような使い方のせいで壊れたり、染みがついたというような、特別損耗が請求の対象になります。
普通に使っていて古くなったり汚れたりしたものは、通常損耗として原状回復責任はないんですよね。
壁の汚れとかちょっとした剥がれもそうだし、極端な例では、窓ガラスにひびが入っていても、
これは借主が何らかの外力を加えたとうかがわせる証拠がなければ特別損耗ではなく、請求できない。
かつ、特別損耗が認められる場合にも、老朽化による減価分を差し引いてなので、
実際にはそれほど高額にはならないはずなんですけれども、それを、借主の側が知識があって、
その請求が正当かどうか判断して同意するというのが適正なんですけれども、現状はそうではない。
私自身も、だいぶん前の経験ですけれども、ちょっと壁紙が、退去時に、小さな剥がれに対して請求が過大だったので、
ちょっと折り合わなくて、かつ、管理会社にかなりの圧で払うべきやと言われて、それだったら簡易裁判で決着つけましょうと言ったら、
後日、ボンドで壁紙を留めてくれたら請求はしないと言われて合意したことがあって、話し合いというのは本当に大事なんですけれども。
しかし、ここに家賃保証会社が間に挟まることによって悲劇が生まれている。
管理会社とそういう折り合いがつかない状況のときに、管理会社が借主と交渉をせずに、
家賃保証会社が勝手に立て替えて後々請求してくる事例がある。
突然高額な請求が来るというトラブルが起きていて、これは、家賃保証会社の保証対象が、家賃以外に原状回復
費用があるということが原因で、多くの方が泣き寝入りしている。
これは、家賃保証会社に代行させたら管理会社は楽かもしれませんが、結局、過剰請求につながっています。
そもそも、過剰請求をしてくることとか、泣き寝入りしないような、そういう情報というものがないということが原因としましても、
最低限、賃借人に同意がない原状回復費用の請求は禁止するべきです。
伺います。
少なくとも家賃保証会社による原状回復費用の請求を代行させるのはやめさせるべきではないですか。
斉藤(鉄)大臣 家賃債務保証契約におきましては、賃借人の家賃債務に加え、
賃借人が退去時に負担すべき原状回復費用の支払いを保証している場合があります。
このような保証内容の場合、賃借人が原状回復費用の支払いを滞納すれば、家賃債務保証業者は、
賃貸人に当該費用を代位弁済し、賃借人に求償することになります。
他方、原状回復の内容や費用は、賃貸人と賃借人の間で協議し、合意することによって確定するものであり、
このような手続を経ることなく、保証業者が賃貸人の要求額を代位弁済して一方的に賃借人に求償することは、
適当ではないと考えます。
国土交通省としては、こうした不適当な事案が確認された場合には、保証業者に対して、
賃借人が負担することに合意した原状回復費用に基づき代位弁済すべきであること、その場合でも、
賃借人による負担が合理的な範囲で代位弁済することが望ましいことなどに留意するよう指導等を行ってまいります。
大石 現状がそういう請求だらけですので、より現状を踏まえた強い規制だったり保護というのが必要だということを
ずっと申し上げていたんですけれども、改めて、そうしなければならないという考えです。
3つ目の問題点、家賃保証制度を選択できない、強いられているんだということなんですけれども、
これはもう質問は時間がないので飛ばします。
この国で、公的な住宅だったり、誰もが安心して家に住まえる住まいというものが、生存権が全く保障されていないという現状で、
一方で、本日この一般質疑の後に空き家対策特措法の審議が始まる予定ですけれども、
これは逆に、全国で約850万戸も空き家が存在していることへの対策。
でも、これも不十分だと本会議などで質疑をされているんですね。
このように、よい住環境で暮らせる人が限られ、野方図で無計画な住宅政策であるのが今の日本社会であり……
木原委員長 大石君、時間が経過しておりますので、質疑を終了してください。
大石 問題解決のためには、もっと大きな財政出動をやっていくしかありません。
これからも、住まいは権利を求めていきます。
終わります。
※衆議院、国交委員会 会議録より転載。大石あきこ事務所にて編集
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賃借人A (火曜日, 30 4月 2024 23:58)
めちゃくちゃナイスな質疑だったと思います。
1年以上経過してますが結局このときの「検討・確認します。」の回答ってもらえたんですかね??