2023年2月16日【予算委員会・公聴会 前半】防衛費の倍増問題、教員予算の削減問題について有識者の方々におたずねしました。
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根本委員長 次に、大石あきこ君。
大石 れいわ新選組の大石あきこと申します。本日は、公述人の皆様、どうぞよろしくお願いします。
岸田政権による今国会の予算案、私は異次元の売国棄民予算であると考えているんです。
本当に、今は歴史の転換点、すごく危機感でいっぱいですし、皆様にこの国の政策の在り方について御指導いただきたいなと思っています。
最初に川上公述人にお伺いしたいんですけれども、この資料やプレゼン、拝見させていただいて、非常に生々しいなと思ったんですね。
世間で言われているような、アメリカや欧米の正しい戦争、正義というのと大分違うなと。
私が考えるに、一番大きなやくざと二番目に大きいやくざの抗争、その抗争の中で、日本が一番目のやくざの肩を持って、
うまいことやりながら独自の軍事力を高めていくというふうに私には聞こえたんですね。
先生の資料の中でも何個か出てくると思うんですけれども、バイデン政権が、米中対立は民主主義バーサス専制主義という位置づけだと。
これは、すごく今テレビでもメディアでもそういう騒ぎになっていて、多くの国民もそのように、世論に大きく影響していると思うんですけれども、
川上公述人は、この民主主義バーサス専制主義というのはフィクションだと思われていますか。
簡潔に教えていただきたいです。
川上公述人 簡単なお答えなんですが、第二次世界大戦後、米国は覇権をずっと維持しようとしていますので、フィクションであり、フィクションじゃない。まあ、フィクションではないわけですね、現実的に。
ただ、アメリカが自分の覇権体制を逃さないために必死になって同盟国の力を使いながら、自分の力が落ちたので、そのフィクションを守ろうとしている。
違うフィクションがもう一回出るわけですから。
今回の場合、中国がアメリカに取って代わって、もし覇権体制を取るならば、中国流のルールに従ったフィクションができるわけですね。
したがって、日本はそのフィクションに、どちらに入るのかという選択肢は本当なんでしょうか。
日本は日本独自のフィクションをつくり、日本独自の道を選ばなくちゃいけない、それが私の回答でございます。
大石 でも、やはり多くの国民の方がこれがフィクションだと思っていない中で、防衛費増額が正しいのかどうかというのが議論されるというのは、
私は、不誠実であり、危険だなというふうに思います。
私は、まず前提として、防衛費増額というのが、アメリカの軍需産業ですとか、日本でも一部の資本家の方の大きな利益にはなるでしょうけれども、
多くの国民にとってはマイナスのことだと思っております。
特に沖縄ですよね、沖縄を度々犠牲にして平和を構築するということは、まず不可能ですし、やってはならないというふうに思っていますが、いわゆる内地といいますか、本土の国民、住民ですね、私も大阪ですけれども、の方に、もっと、この問題はみんなの問題なんだよ、そういうことをするとみんなにとってよくないんだということを知っていただきたいなと思って、そういう観点から前泊博盛教授にお伺いしたいと思っています。
棄民政策と私は冒頭言いましたが、やはり防衛費増額というのは非常に大きな問題でして、敵基地攻撃能力の保有などは、米軍需産業からの日本の買物を増やす一方で、その軍備強化をしたとしても、むしろ沖縄を含めた日本全体の安全を損なうのではないかと考えています。
軍備強化は必然に、人々への予算配分、民生部門への資源配分を損なってしまうのではないでしょうか。
れいわ新選組の決意文というのがあって、その一行目は、この国を守るとはあなたを守ることから始まるんだ、
そのような決意文なんです。このような考えに立ったときに、人々の安全な暮らし、あなたを守るんだという立場からは、
国の安全保障の前提となるものをかえって脅かすのではないかと考えるんですけれども、前泊教授のお考えをお伺いしたいです。
前泊公述人 御質問ありがとうございます。本当に、安全保障というのは、この国の国体を守るのか、
国民を守るのかという問題を提起しているような気さえしますね。沖縄にとっては、これまで、G・H・カーの言葉を資料の中へ入れましたけれども、
日本という国は沖縄を前線基地としか見ていないんだというアメリカの歴史学者の見解ですね、その上で沖縄を、エクスペンダブル、消耗品という表現までしています。
これは沖縄という言葉でありますけれども、日本という言葉に置き換えていいと思います。
アメリカにとって日本という国がエクスペンダブルにならないようにどうしたらいいかという、そのことを考えなきゃいけないと思っています。
今、大事なのは、軍事費の議論を一生懸命していますけれども、経済にやはり目を向けなきゃいけないですね。
経済がこれだけ衰退をして、数字を見ると、2000年、14%、世界の経済のGDPに占める割合は14%あったんです。
それが今6%まで落ちて、さらに、2030年、4%まで落ちていく。
日本という国がどんどん縮小していく中で、これをどうするかということをもっと議論しなきゃいけないのに、国防の話よりもむしろ、経済が豊かだったから、この国は平和だったんですね。周辺国に対して援助をし、ODAもいっぱい出して、技術も惜しみなく出してくる、この国が宝島のように見えていた、だからこそ大事にされてきた。
そういう大事にされる国をもう一度つくっていくこと、それが安全保障の基本ではないかというふうに思っています。
是非頑張ってほしいと思います。
大石 ありがとうございます。前泊教授にもう少しお伺いしたいと思うんですね。
れいわ新選組は、積極財政ということで、国債を発行して介護とか保育の予算を倍増するとか、教員をもっと増やせとか、そういうことを常々言ってきたんです。
一方で、国はそのたび、お金はない、お金はないと言っていたんですが、この度、防衛力の増大、4兆円に関して、実は国債もこういうやり方があってねみたいなことを言い出していて、そのときに国の財源というのが問題というか議論になるんですけれども、国の財源というのは国内の供給力のことですね。
ですので、国内の供給力が大丈夫なうちは国債を発行しても通貨が下がらないんですけれども、何に使うのかというところが非常に問題なんだと思っています。
財源を戦争や軍備のために使うと、社会の供給力を戦争に取られてしまい、日本経済のよい循環にならない、そのようなことを御示唆されたと思うんですね。戦争経済は、ごく一部の人にはぬれ手にアワのチャンスだとしても、大多数の国民にとっては大事な供給力、生活のために必要なもの、例えば、食料の生産ですとか、住宅建設ですとか、先ほど言っていたような介護とか、人が人を見るような大事なお仕事というもの、供給力が毀損され、生活水準が苦しくなるというのは、さきの大戦の教訓でもあったかと思います。
アメリカの事情にもお詳しい前泊教授にお伺いしたいですけれども、アメリカは軍産複合体が国の経済に浸透してしまい、アメリカは10年に一度戦争しないとやっていけない体質だとも言われるんですけれども、日本は今、抑止力強化の下にこういった戦争経済への道を歩もうとしている。
4月に経済安全保障法というのも通ってしまいましたけれども、それを入口にして戦争経済への道を歩もうとしていると私は危惧しております。
先生はアメリカを見て、IT産業や軍需産業のハイテク化が進む一方で、アメリカのインフラの弱体化などにも何か御意見があればお聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。
前泊公述人 生活インフラでいうと、よく、橋が落ちたりするとか、あるいは道路が陥没するというのがあります。
日本でも同じように、公共インフラの劣化というものをどう修繕をしていくかというのは課題になっています。
戦後七十八年を迎えて、戦後復興で造ったものがそろそろメンテをしなきゃいけない時期を迎えています。
そこら辺でいうと、もう財源がないということで、新しいものは造れないし、修復をするためのお金の確保も難しい。
これはアメリカが先にその状況に陥っている部分はあると思います。
日本においては、今、先ほどちょっと債務残高の話をしたんですが、日本はアメリカの倍も高い264%、アメリカが122%の債務残高を抱えています、対GDPですけれどもね。
その中で、日本は実はアメリカの国債を大量に持っていますね。今どれぐらい残っているか、私が直近調べたのは、百兆円ぐらいアメリカの国債を買っている。中国も同じように買っていますけれども、中国は自分たちで持って、いつでも売れるけれども、日本は国債を買っても、アメリカの国庫に入っている、
いつも売ろうとするとすぐに邪魔が入るという、そんな状況ですね。
そういう意味では、日本はなぜ債務残高がこれだけ高いのにアメリカの国債をたくさん持っているのかというところも、財源として、その国債を売って国民のために使うということも議論をいただければというふうに思っています。
大石 アメリカの経済状況に加えてそういった、やはり日本がアメリカに従属させられているというところからも、それを見直すことで新たな財源も生まれるのではないかということを御指摘いただいたと思います。
私、今、国会議員としてここにいるんですけれども、やはり、その前に一人の人間として、また子を持つ親として、本当に今恐怖しています。
防衛費増額というのがこんなに簡単に進められて、川上公述人にも今日ありていに語っていただいてよかったと思いますけれども、そういった、私に
言わせればフィクションでの正義の戦争というものが行われ、その欧米に日本が追随していく、その犠牲になるのはまず真っ先に沖縄です。沖縄を日本の捨て石にさせてはならない、それから日本をアメリカの捨て石にさせてはならないという、そのような思いを今日改めて強めましたので、本当に皆様にはありがとうございました。
まだ少しありまして、清水公述人に是非お伺いしたいです。
棄民政策と言ったもう一つには、労働者を使い捨てにしてまで、国がぼろぼろになっているじゃないか、そのように感じているんです。
連合の清水事務局長にお伺いしたいんですけれども、教育予算の削減問題についてなんです。
日教組御出身の清水事務局長は御存じと思うんですけれども、今、教育現場で異次元の教員未配置が起きているということで、学校の教員が過労死レベルの残業を、給特法の下で、不払いのままやらされている。
教員不足は、文科省が把握しているだけでも、2021年4月時点で2558人、2500人を超える欠員がありました。
精神疾患で休まざるを得ない先生も高止まりしておりまして、学校現場が回っていない。
それに対して今政府がどうしているかというと、残念ながら教員削減を続けている。
昨年の2022年4月では3302人の教員予算の削減、それから、今回の4月からですけれども、更に2474人の教員予算を削減しようとしているんですね。
日教組の要求を拝見しますと、教員の基礎定数、加配定数、いずれも改善を求めておられますし、不払い残業の給特法も廃止を求めておられ、非常に真っ当な要求だと思うんですね。
学校の先生を計画的に採用、育成をもっともっとしていかないといけないと考えているんです。
具体的には、2005年からなくなった教員定数改善計画を復活させて、また、教員の基礎定数を1.5倍にするくらい必要だと考えているんですね。小中学校で基礎定数を1.5倍にすると、年間約2兆円ぐらいの予算が必要となります。私は、学校現場の声を踏まえれば、基礎定数、1.5倍ぐらいは必要なんじゃないかなと思うんですけれども、その辺、現場の実態をよく知っておられる公述人からもお伺いしたいなと思います。
清水公述人 教育現場について御質問いただき、ありがとうございます。
一応、今、連合の事務局長でございますので、日教組の考えは日教組の考えとしてありますが、定数については、既に国においても、いわゆる40人学級から35人学級という形で進めていこうということで、定数改善が図られているということでございます。
子供の数が多かったときには、いわゆる教員の、学校が減っていっても、その分の余剰人員を定数改善に回していく、いわゆる第6次であったり第7次であったりという定数改善をやりながら、少しずつ学校現場に人をという形でやってきました。
ここに来て、毎年500校ぐらいの学校が、小中学校、高校を入れると700校ぐらいが毎年なくなっている状況でございます。
なので、そういった意味では、教員定数が抜本的に定数法上は要らなくなっているのではないかという事実もございます。
要は、この後、子供に対する人数が、何人ぐらいで1クラスをやっていくのがいいのかということでいえば、
やはり20人、25人。欧米などの状況を見れば20人台でやっていますので、日本の35人はまだまだ多過ぎるということであります。これは、保育所の一人が見る保育児の数も非常に多過ぎるというのと同じことだと思います。
なので、抜本的な教育や保育に関わる人の配置ということについてやることは大事だと思いますし、教員の採用が今2倍を切って、人気のない職業になっているのは非常に残念なことです。
是非、学校で子供を育てるということ、将来の人を育てる学校現場、そこに魅力を感じるような、そういった学校の体制になるように、環境整備を定数含めて進められることが必要ではないかと思います。
以上でございます。
大石 まさに、少人数学級、20人以下学級の実現、それから、学校の先生が、不払いをしないで済むように基礎定数をいじった場合……
根本委員長 申合せの時間が過ぎておりますから、おまとめください。
大石 1.5倍必要だというのが学校の先生の現場からの試算だったんですが、それにしても、本当にどのぐらい必要で、計画的に採用していくのかというのを、連合の皆さんとも、国会の中でも外でも真摯に行っていきたいと思います。
ありがとうございました。
※衆議院、予算委員会 会議録より転載。大石あきこ事務所にて編集
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