11月16日内閣委員会で、大阪IR(カジノ)の問題の最大の問題、夢洲の土壌問題を追及しました。以下、衆議院の内閣委員会 会議録より転載します。青字は注釈として大石あきこ事務所が追記しています。
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大西委員長 次に、大石あきこ君。
大石 れいわ新選組、大阪五区、大石あきこです。
前回、11月4日に引き続き、IR、カジノの問題について質問します。
ところで、先日、11月14日、2日前ですけれども、報道がありました。
大阪市の松井市長が、国のカジノの審査で、地盤について必要な書類を求められ協議していると明らかにしました。
これまで、松井市長は、地盤に関する会議資料を隠匿、カジノ業者との契約内容、基本合意も隠匿。
それに倣って、国も審査内容を隠匿しています。
しかし、各方面からの指摘によって、今、様々な問題が明らかにされてきました。
今こそ、住民の前に全てを公開し、審判を受けるべきときです。
さて、パネルの1です。
国のカジノ計画を審査する委員会の一覧です。8名いらっしゃいます。
前回の私の質問で、大阪のカジノ計画において、予定地、夢洲の一番の問題点は土壌なのに、
審査委員に土壌の専門家はいないのではないですかと質問しました。
すると、西田政務官が、土壌、土木の経歴を一部有している人がいる、そのように答弁されたんです。
それで、質疑の後、一体それは誰なんですかと聞いたところ、山内弘隆特任教授だと。四角囲みのこの方ですね。
この方が土壌、土木の専門家だと。
それを示す論文などの証拠を出してくださいと言っていたんですけれども、
まあ、私の方でたくさんの論文を入手したんですけれども一つもないので、言っていたんですね。
そうすると、昨日の夕方になって、何かそういった感じの会議に出たことがあるみたいなものが示されたんですけれども、
やはりそれって素人やと言うているのと同じだということが分かったんです。
改めまして、この予定地、夢洲は、液状化対策そして地盤沈下対策など、
十分な土壌対策が取られていないということが指摘されています。
大阪府市は、現在、788億円の公金を投入する対策は示しましたが、全く不十分なんですね。
というのも、整備予定の建築物の直下25メートルとその周囲12・5メートルの埋立層、
表層のみに対策を限定していて、不十分なんです。
では、十分な対策となると、不十分で788億円ですから、
十分となると一体何ぼ公金を使うのかと。
大阪市の公金支出を青天井に拡大させようとしている現状なんです。
改めて西田政務官にお伺いします。
この状態で大阪のカジノ計画を認定することは、国の責任になります。
土壌の専門だと名指しされた審査委員の山内教授が、液状化対策や地盤対策について責任ある審査ができる人だということでよろしいでしょうか。
西田大臣政務官 大石委員の質問にお答えさせていただきます。
審査委員会では、御指摘の液状化対策や地盤対策等に関して審議を適切に行うため、
有識者三名を選定(※)し、その御意見の聴取結果をよく踏まえて審査委員会として認定に関する審査を行うと決めております。
このような審査の進め方により、必要な点については専門家の知見を入れた適切な審査が行えるようにしております。
(2022/11/16 追記:この「有識者」は誰なのか、いつ選定したのか等、委員会終了後に求めています。)
(2022/12/ 8 追記:11/30に有識者の氏名が公開され、意見交換を行いました)
大石 やはり、審査委員の中にしっかりとした土壌の専門家の方がおられないというのは、非常に致命的なことなのですね。
なので、今回、本物の土壌の専門家からのこの夢洲における指摘を御紹介します。
田結庄良昭名誉教授、2020年に論文を書かれています。パネル2を御覧ください。
大石 夢洲について、軟弱地盤を指摘されているんです。
これは、夢洲の埋立層があって、その下にピンク色の粘土層が眠っているというような、そういう図式なんですけれども、
上の方、軟弱な沖積粘土層が20メートル以上の厚さで分布と。
これは地震が起きたら増幅され激しく揺れるため、構造物の多くは損傷するおそれがあると指摘されています。
更にその下に、沖積粘土層の下、古い洪積粘土層が分布し厚さは10メートルを超えて、N値が4から5と軟弱であると。
このN値というのは地盤の固さをいうんですけれども、夢洲は4、軟らかい。
中小建物の基礎地盤としては20以上が好ましいので、もうゆるゆるである、そのような御指摘なんですね。
(引用は大阪市政調査会・市政研究 第208号(2020年夏号)「夢洲開発のリスク」)
そして、この先生だけではなくて、IR事業者すら軟弱地盤を問題視していることをお示しします。
パネルの三ですが、これは市民の情報公開(※夢洲懇談会のブログ)で発覚した貴重な資料です。
IR事業者も、夢洲では「洪積層が長期的に沈下する極めてまれな地盤条件」だと指摘しています。
その他もろもろ、複合影響も技術的に未知だとも指摘されていて、そして、決めぜりふがこれです。
「大阪市で敷地全体の地盤改良を行った上で土地を引き渡す必要」。
すなわち、大阪市に金を出せと。これは市民の公金ですよね。
国もさすがにこれはまずいなと思ったんでしょうか、
西田政務官にお伺いしたいんですけれども、先ほどの大阪市松井市長が14日に報道に語った、
国が大阪市に提出を求めた資料とはどのようなものですか。簡潔にお答えください。
西田大臣政務官 お答えをさせていただきます。
認定審査において、IR用地に関して、液状化対策や地盤対策等について申請者側から説明を聴取しております。
大石 松井市長によるともう少し説明されていて、国が求めているのは、
地盤の問題の解決の手段や時期、対応策を求められているということなんですよね。
これは大変残念なんですけれども、パネルの4にありますように、
国が求めている解決の手段や対応策、判明するのは3年は先なんです。
大阪府は夢洲の液状化対策は未決ですし、地盤沈下の研究に3年必要なんですね。
大阪府が、液状化に対する専門家会議というものを開いています。
これは最後に開いたのが一年前の12月なんですけれども、
この専門家会議の結論としては、液状化対策の手法は決まっていないと。その他資料は非公開で、隠匿されております。
そこの座長の大島昭彦教授が、別の研究委員会(※)にて、
地盤沈下の方、液状化じゃなくて地盤沈下の方を今後3年かけて予測すると。
この8月に表層部分の沈下の予測は発表したんですけれども、もっと深いところ、
先ほどピンクの二層あるようなところ、そこは3年かかるとおっしゃっています。
(※2022/11/16追記:公益社団法人 地盤工学会関西支部の「夢洲の地盤性状と沈下性状に関する研究委員会」は、令和3年3月26日までに公募され、3年間をめどに検討を行うとしています。2022年8月に「夢洲2区(万博用地)の浚渫粘土層の地盤特性と圧密沈下予測」が公表されましたが、そこでは「本研究では、浚渫粘土層を対象とした圧密沈下予測を示したが、最終的な盛土荷重によって、その下に堆積している沖積粘土層および洪積粘土層が長期的に沈下していくので、今後はその圧密沈下予測を行う予定である。」と書かれています。国が求める地盤沈下の対応策は、学会の検討もまだ先であり、大阪府の専門家会議でも議論はこれから。すぐに出てきたらおかしいのです。)
ここまで地盤対策の研究を怠った大阪のカジノ計画、
国が認定するならば山内委員の責任問題に直結します。
時間がないので、引き続きこの問題は追及して、終わります。
※衆議院、内閣委員会 会議録より転載