大石あきこ(大石晃子)です。
先月2月に、大阪府の「介護の人手不足」対策予算が大幅カットされていることに対して、府議会に予算復活の陳情署名をおこなったところですが(ブログ記事はこちら)、3月に府議会が開かれ、その結果の報告です。
結論としては、タイトルで書いたように、予算復活にはならず、私の予想を上回る議員と府の出来レース質疑によって、議会の質疑は終了されてしまいました。
おいおいふざけてんじゃねーぞ。そんなもんで、溜飲(りゅういん)が下がるとでも思ってるんか?
現場で人材不足が危機的状況にいたってるのも他人事かよ?
あ・・・口が悪くてすみません・・・
ほんとに許せなくて(# ゚Д゚)
3月6日、8日の大阪府議会(健康福祉常任委員会、維新2名の質疑)の文字起こしに、解説(心のツッコミ)を入れる形式で報告します。QAの太字のところと、私の心のツッコミを読めば、ポイントがわかります。
なお、経緯として2月に与党会派(維新、公明)に面会して、この件で予算復活の要望をしました。
2会派とも、面会に応じてくれたのはありがたいです。その会派のうち維新は、委員会で取り上げるとして、実際に取り上げました。それが茶番だった、その内容を解説するものです。
ただ、取り上げてくれただけマシとも言えるかもしれないので、「維新だけが悪い」という意味ではなく、今の大阪府議会の質の低さを知るための、議会の見方の参考にしてもらいたいです。
※大阪府の議会の様子は以下の府サイトで過去の動画が観られます。
■2019年3月6日大阪府健康福祉常任委員会
Q 維新・やまのは委員
介護を担う人材の確保は非常に厳しい状況になっている。団塊の世代が全て後期高齢者の75歳になる2025年には、府内で約3万4千人もの介護人材が不足すると推計される。これは極めて憂慮すべき事態であり、府民生活の重大な課題であると考える。府において、地域医療介護総合確保基金を活用して、人材確保の取り組みを進めていますが、2025年に向け、必要な人材を確保していくためには、しっかりと予算措置をして施策展開を図っていく必要がある。そこで、31年度当初予算(=来年度予算)にてどのような予算措置をして人材確保をしようとしているのか伺う。
(私の心のツッコミ)ええやん。「極めて憂慮すべき」「重大」「しっかり予算措置」と認識してはるんやね。
陳情書の内容どおりやん。
A 大阪府(福祉人材・法人指導課長)
介護人材確保は、府として取り組むべき喫緊の課題と認識、今後の方向性を示した「大阪府介護・福祉人材確保戦略」を平成29年11月に策定したところ。今年度からは、戦略に基づく事業を知事重点事業と位置づけ、参入促進、労働環境・処遇の改善、資質の向上の3つのアプローチにより施策展開を図っているところ。
参入促進については、今年度、介護職のイメージアップを目的として、若い世代、とりわけ高校生を対象に、介護職の魅力を発信する動画を作成し、インターネット上で配信している。平成31年度においては、第2新卒者などにも対象を拡大し、さらに多様な手法により取り組みを進めてまいる。さらに若者だけではなく、介護業務未経験の社会人、中高年齢者、1人親家庭の親など、介護人材のすそ野拡大にむけて事業展開を進める。
人材の定着促進に向けては、今年度に引き続き、労働環境、処遇の改善に取り組むとともに、実務者研修受講時の代替職員確保の補助を行うなど、介護職員の資質の向上に向けた取り組みを行う。平成31年度(=来年度)に向けては、今年度の実績を踏まえ、所要の事業量を確保するとともに、外国人人材の活用など、新たな課題に対応しうるよう努める。
(私の心のツッコミ) はい、「喫緊の課題」との枕詞とオチがあってないよー、いつもの府の言いわけとすり替え答弁の前兆きたきたー。
「今年度の実績を踏まえ」ってさ。
担当課が、今年の実績は良くなかったけど、必要だからがんばって来年こそ実績を大幅に増やそうってことで、今年度の予算の増額要求したんじゃないですか。例えば、初任者研修の受講補助、今年度実績は600人程度だけど、人材確保の必要性から来年度1280人ぶんを想定して増額要求した。
それを財政課に「640人ぶん」という半額に予算カットされたんでしょ。なんでその経緯ちゃんと言わないで、あたかも「最初から実績ベースで考えてました」ふうを装うんですか?いつものことですが。そんなんじゃ府民には全然、本質が見えないよね。
そしてまさか結論は、必要な投資もせずに、いきなり外国人活用じゃあるまいな?
いや、偏見はいけないよね。維新・やまのは議員は、「そうじゃないだろ!日本人の人材不足はどうするんだ?」って追及してくれるかも?
ちなみに、イメージアップ動画で参入促進とか言ってるのも、そんな甘いもんじゃないからね、経済面の改善がないと参入促進ならないから。そこも追及してほしいところ。
Q 維新・やまのは委員
外国人人材の活用については、平成29年9月より施行された在留資格「介護」に加え、今般、入管法の改正により新たな在留資格「特定技能」が創設されるなど、受け入れの方策が広がってきている。とりわけ本年4月から施行される特定技能においては、特定技能1号の対象になる14分野のうちでも、介護分野は多くの人材の活用が期待される。そこで、大阪府において、介護人材不足に対してどのように外国人人材を活用していこうとしているのか。
(私の心のツッコミ) はーい、やっぱりね。流れるようなQAのストーリー。
・・・いやいや、偏見はいけない。外国人人材活用の話が終わったら、日本人人材の本論が待っているのかも。
A 大阪府(福祉人材・法人指導課長)
介護職場における外国人人材の活用については、平成22年度より実施している経済連携協定に基づく介護福祉士候補者の受け入れに加え、平成29年9月より在留資格「介護」、平成29年11月より技能実習制度の対象に介護が追加された。こうした状況を踏まえ、府内において外国人人材の適正な受け入れが図られるよう、介護留学生受け入れ適正化推進事業として、関係機関による協議会の開催や、事業者の制度理解を図るための研修を実施した。平成31年度においては、介護分野が、新たに創設される特定技能1号の対象職種となることから、さらに複雑化する制度について事業者の理解促進を図り、必要な人材を、それぞれにふさわしい手法で進められるよう、協議会で関係機関の情報共有を進め、研修の実施や事例集の作成を行うこととしている。
(私の心のツッコミ) うん、外国人人材の話の続きね。
Q 維新・やまのは委員
介護人材の確保は、府内でますます高齢化が進む中で、府民の暮らしを支える基盤整備として必要不可欠なものである。本府においては、今後とも必要な予算措置を行い、介護人材確保のための事業展開を積極的に行っていかれますようお願いする。
(質疑終わり)
(私の心のツッコミ) うん、外国人人材の話を受けた「まとめ」ね。
・・・ふぁっ?? 質疑こんだけ???
予算カットの話は話題にさえならず、外国人で埋めましょう、だと?
予算措置してないのに、維新・やまのは議員「今後とも必要な予算措置を行い」?
こんなん、ただの現状肯定質疑&外国人人材活用アピールやん!
最悪!
気を取り直して、3月8日の質疑へGO。ひょっとしたら、状況が変わるかも・・・
■2019年3月8日健康福祉常任委員会
Q 維新・徳村委員
2025年の大阪府における介護職員の不足数は3.4万人と予想されるなど、介護人材の確保は深刻な状況。超高齢化が進む中、あらゆる施策を総動員して取り組まねばならない喫緊の課題である。
知事重点事業にも「介護・福祉人材の確保」が挙げられているが、今回はこのうち「介護ロボット導入・活用支援事業」と「おおさか介護かがやき表彰」の二つについて確認をしたい。
最初に、介護ロボット導入・活用支援事業についてお聞きする。
介護現場にとっては、新規の人材確保とともに、長く働けるよう離職防止及び定着促進に向けた雇用環境の改善が非常に重要である。
介護職員の離職率が高い要因として、腰痛などの身体的負担や要介護者の転倒事故が起きかねない精神的負担があるとも聞く。
そういった介護職員の負担の軽減に役立つということで、介護ロボットの導入に乗り出した施設等がある一方で、価格面のハードルやまだまだ介護は人の手でという価値観から導入が進んでいない現状がある。
このような中、大阪府においても本年度から介護ロボットの導入費助成を実施していると聞いたが、事業概要や実績は如何。また、来年度の実施予定は。
(私の心のツッコミ)ええやん。「喫緊の課題」「雇用環境の改善が非常に重要」と認識してるんやね。陳情書の内容どおりやん。
A 大阪府(介護支援課長)
大阪府内の介護保険施設や事業所が介護ロボットを導入、活用することで介護従事者の負担を軽減し、離職防止や定着促進に繋げていくことをめざす事業。
補助金については、今年度、68施設から282台、総額約2,697万円分の導入申請があった。これに対して、1,000万円の予算の範囲内で47施設に82台分、総額約992万円の交付決定を行った。
今年度は、要介護者の身体の状況をセンサー等で把握する「見守りロボット」の申請が全体の8割を占めているが、その他にも、抱え上げをサポートするものや排せつ・入浴に役立つもの等もあった。
このような機器をうまく活用することで、腰痛や夜間の見回り等の負担軽減、介助時の転倒防止等の安全性の向上の他、要介護者の生活リズムや体調変化をデータ等で「見える化」して介護の質の向上につながることを期待している。
来年度においても、更なる普及促進を図る観点から、この補助金の予算総額を1,200万円に増額した予算案を本議会に上程させて頂いている。
(私の心のツッコミ)アカンやん。いきなりごまかしてるやん。
今年度に「282台、2,697万円ぶん」の応募があったのに、今年度は予算が「1,000万円」しかなかったから「82台」(希望者の3分の1以下)しか補助できなかったんよね。
だから担当課は、来年度は、需要をもっと満たすべく、実績ベースで「2,500万円」の予算を要求した。
(介護需要が増えてるんだから、それでも全然足りないはず。)
ところが、財政課の査定で半額以下の「1,200万円」にカット。
なんでこの話せんと、「増額」言うとんの?
予算カットのごまかしテクとして、3月6日の質疑では「実績を踏まえ」との言いわけ使ってましたが、こっちは実績踏まえてないから、すじ違いな差額をとらまえて「増額」とのカムフラージュ、姑息です。
当然、維新・徳村議員は、その手にのらずに、「予算足らんやろー!」とズバッと突っ込んでくれるんだよね??
Q 維新・徳村委員
現場に導入した介護ロボットが活用されなければ意味がない。介護する側にとっても、介護を受ける側にとっても負担軽減や安全面で良い効果をもたらせば、働きやすい魅力的な職場として離職防止や定着促進、ひいては人材確保に繋がると考えるが、具体的にはどのように活用及び普及促進を図っていくのか。
(私の心のツッコミ) ん?ツッコミの方向性おかしない? こ、これはもしかして・・・
A 大阪府(介護支援課長)
介護ロボットの導入活用を促進するため、この2月に府内の介護施設の施設長や現場の介護職員等を対象として、介護ロボット導入活用セミナーを実施した。
具体的には、介護者と被介護者双方にとっての負担軽減と安全確保、介護ロボットや福祉機器等の活用の利点や事例等の紹介等を行うとともに、今年度ニーズが高かった介護ロボット機器の体験会等を実施した。100名を超える参加者は熱心にロボットに触れ、お互いの情報交換も活発で、意識が前向きに変わったという声もあった。
来年度は、今年度介護ロボット機器を導入して効果を実感した施設の効果的な活用事例も紹介する等により、さらに広く導入・活用を促進し、労働環境の改善による魅力的な職場づくりや介護の質の向上、ひいては離職防止、定着促進、人材確保につながるよう、しっかり取り組んでまいりたい。
(表彰関係略)
(私の心のツッコミ) 出ました、川の流れのようにゆるやかに流れるQAストーリー!今度は維新から大阪府に「渡りに船」返し・・・
大阪府の施策アピールに使われてあげるよ、的な。そしたら大阪府にQA書いてもらえるからね。議員は仕事したかのように見せれるから、持ちつ持たれつ、楽しいオヤジの学芸会。
Q 維新・徳村委員
今回質問した介護ロボットと表彰は、「介護・福祉人材の確保」という目的で実施され、既に一定の成果も現れているようだが、今後も継続することによって、大阪府内の事業者が広く取り組まれるよう周知啓発に取り組んでほしい。
これらの事業は、単に事業者にとっての人材の確保・定着にとどまらず、介護サービスの質を高めることを通じて、介護を受ける高齢者のクオリティオブライフ(QOL)を高めることにもつながる重要な取組である。今後とも、こういった視点を忘れることなく取り組まれるよう指摘しておく。
(私の心のツッコミ) 怒りとおりこしてウケる。QA、テンプレすぎ。
おーい、「人材不足が喫緊の課題」との認識、どこいった~?(せやろがい風)
茶番すぎる府議か。
そのほか、民主の中村議員も介護・保育人材の確保策について質疑しています。
結果として、カットされた予算に切り込む議論にはならず、予算復元することはできませんでした。
===
解説は以上です。
少しでも読んでもらいやすくするようにと、ユーモアも交えて解説してみましたが、みなさんのご期待に応えることができず、申し訳なく、悔しく思います。
動画を見ていただいたら、大阪府議会の茶番がよりリアルに伝わると思います。
大阪府の幹部がつくったシナリオを、早口で読んでるだけ(しかも噛みながら)の議員が多くいる。
これでは何も変えることはできません。ひとびとの生活を良くする施策にはできません。
大阪府議会と大阪府幹部のなれあいについては、こちらの記事も読んでください。何も変わっていない。
出来事2017 大阪府で起きた「維新一般質問の売るネタ」準備事件
決意:
やっぱり私がやらんと話が進まん。
署名してくれたみなさん、いっしょに大阪府議会を変えましょう。
活動継続のため、大石あきことともに歩み、力を与えてくださいませんか。
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